第5話 再会

ミラージュは、自分の零れ落ちる涙を見ていた。


金色に光る雫。



(金?)


「ミラージュ。ミラージュだろう。」



ミラージュ振り返った。



金髪の逞しい男性が近づいてきている。



グランだ。もう会えないと思っていた彼が目の前にいる。



グランは、ミラージュを見て微笑んだ。



「ミラージュ。会いたかった。君の事が好きだ。初めて会った時からずっと。」




ミラージュは、驚き言った。



「うそよ。私は、貴方に相応しくない。ただの町娘なのに。」



グランは言う。



「そんな事関係ない。ただ、側にいて欲しい。俺は君と一緒に過ごしたい。君と毎日会って話をして、笑いあいたい。君がいなくなってしまって、どんなに心配した事か!君は俺の事をどう思っている?」



ミラージュは、心配そうに見つめてくるグランに言った。



「私も、貴方が好き。ずっと好きだったの。貴方に会いたかった。もう、会えないかと思っていたの。」



グランは、近づいてきて、ミラージュをそっと抱きしめてきた。



「もう、いなくならないでくれ。愛している。」



ミラージュは、グランを見上げる。


グランは、ゆっくりと顔を近づけてきた。


唇が触れ合いそうな時、、、




バキッ。





ミラージュとグランは音がした方向へ振り返った。




そこには、王妃がニヤニヤしながら佇んでいた。




「まあ、私の事は気にしないで続けて頂戴。ふふふ。まさか王太子に、こんなに可愛い恋人がいるなんて。嬉しいわ。」

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