C3 (シーキューブ)
相馬 透
第1話ー0
…身体が痛い。動かす事が出来ない。
朦朧とした意識の中、ゆっくりと目を開ける。
霞む視線の先には、口元に笑みを浮かべながら半狂乱で地に伏せる敵と、
ーーーーその敵に、銃口を向ける小柄な女性。
一気に状況を把握し、身体の痛みを堪えながら、力を振り絞り必死で彼女に声を掛けた。
「だめっ…だめぇええええ! 和臣さん!!!
やめてぇぇぇえええ!!!」
こぼ、と喉の奥で何かが込み上げ、口内に鉄錆の味が広がる。
叫び終わるや否や、その瞬間に覆い被さるように祖母に抱きしめられる形で顔を塞がれた。
ーーーー刹那、銃声。
…どうしてこんな事になったのだろう。
この世界は みんなが幸せに楽しく暮らせる
場所では無かったのか。
なぜ この人が 苦しまなければならないのだろう。
この世界で身体は大人になっても、私はまだ、子供だから分からない。
「夏ちゃん、大丈夫よ…っ大丈夫だからね…!」
普段の祖母よりも若い女性の手で頭を撫でられる。
祖母の体温で少し気が緩み、大粒の涙を流しながら…そのまま私は何かに吸い込まれるように…意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます