スライム大好き【スライムテイマー】少女のスライムな旅路
風間 シンヤ
序章
魔王との決戦という名のプロローグ 前
この世界。エクスティアの全てを支配しようと企む魔族の王である魔王ワルダーク。
そんなワルダークの野望を阻止する為に動き出したのが、キャンベル王国の第二王子で、【勇者】のジョブを授かったクリストフを中心とした勇者パーティー。
そんな彼らは様々な苦難を乗り越え、ついに魔王ワルダークとの決戦となった……
「魔王ワルダーク!!【勇者】のジョブを授かったこの私!キャンベル王国第二王子のクリストフが相手だ!!」
クリストフは聖剣エクスカリバーを掲げて魔王ワルダークにそう宣言する。魔王ワルダークはゆっくりと立ち上がり
「ほう……我が部下達を倒してここまで来たか……いいだろう。【勇者】の力を我に示してみせるがいい」
と、言って特に動こうともせずにクリストフを見る。そのワルダークの態度にカチンときたクリストフは
「くっ!俺を舐めてかかっているな!後悔するぞ!聖剣の力をくらえッ!!!!」
クリストフは聖剣エクスカリバーに自身の聖なるパワーを付与し、クリストフは聖剣エクスカリバーを振り下ろし、魔王ワルダークに聖なる斬撃を放つ。
そのクリストフの行動を見ても、ワルダークは特に動く気配をみせない。そして、クリストフの放った斬撃は見事に命中……したように見えたが……
「は?」
その斬撃はワルダークに当たる直前で、見えない壁か何かにふさがれてしまう。
「返すぞ」
ワルダークはそれだけ言って右手を前に出すと、クリストフが放った斬撃がクルッと方向転換し、そのままクリストフめがけて放たれる。
「へっ?ぎゃあぁぁぁぁぁ〜ーーーーー!!?」
『クリストフ様!?』
自分の放った斬撃を返され、簡単に吹っ飛ばされるクリストフ。そのクリストフを慌てて追いかけて治療にあたる勇者パーティーの面々。
そんな彼らを見たワルダークは思わず溜息をついた。
「我が部下達を撃破した者達がどれ程の強者かと思ったが……まさかこの程度とはな……」
本来なら、【勇者】ジョブが放つ聖なる力は、魔王や魔族にとっては弱点となる力である。しかし、クリストフの放った聖なる力はあまりにも弱く、ちょっと魔力を込めた結界で簡単に弾き返せる物だったのである。
こんな程度のレベルの【勇者】に、自分の部下達が本当に負けたのか?と疑問に感じているワルダークの前に2人の少女が立ちはだかった。
「余興はここまで。次は私達が相手よ!!」
そう宣言した少女は、この世界では珍しい黒い瞳に黒い髪。長く黒い髪を靡かせ勇ましく宣言するその少女は、かなり整った容姿をしていた。そして、ワルダークはその少女から強者特有の強者のオーラを感じ取っていた。
が、ワルダークが1番気になったのは、黒髪の少女の隣に並び立つ、銀髪の長い髪をした透明感ある肌の、どこか人とは違う美しさを感じる少女の方だった。無表情でじっと自分を見つめる無感情なその瞳に思わず背筋が凍りつくものを感じるワルダーク。
(バカな!?この我が一瞬でも恐怖を感じただと!?)
「貴様らは一体……?」
それは主に銀髪の少女に対して放った言葉だが、銀髪の少女は一言も発する事なく、代わりに黒髪の少女が答える。
「私は
「は!?」
黒髪の少女、真那美が言ったジョブを聞いてワルダークは素っ頓狂な声を上げ呆然となった。
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