異世界リーディング〜転生特典が速読スキルで王様から捨てられたけど、実は本を読めば読むほど強くなる優れものスキルだった件〜

藍坂イツキ

第0話「はじまりの日」


「では、今日はこれで……お疲れ様でした」


 2021年5月10日22時34分。


 日本ならどこにでもあるブラック企業で職務を全うしているおじさんこと国木田学(31歳)は今日も今日とて仕事をしていた。


 ちょうど終わって、サービス残業よーいよし。

 このまま家までパンツァーフォー! って感じだ。


 もちろん、帰ってからもノートパソコンと睨めっこしなくてはいけないのだが、会社をこの時間に出れるのは幸運だったかもしれない。


 普段なら、余裕で23時は越えるし、酷けりゃ車内で一泊だ。高校の部活でもないし楽しみなんて一つもない。


 休みなしの8連勤。


 会社の方針なのか、それとも上司の仕事の振り分けが甘いのか……。


 まぁ、そんなこといちいち聞かなくても分かるのだが、生憎と俺は中間管理職。


 上からも下からも板挟みになっているっていうのに何かができるわけではない。正直言えば、上の人間はほぼ無能ばかりだし、下には有能な若者がわんさかいる。逆転してくれた方が業績は上がりそうだし、何より下の者たちにはいっつも謝っているくらいだ。


 今更、労基に行って相談とか組合に行って何かするなんて気力は皆無で、ボロボロになった体をなんとか起こしながら暗くなった夜道を帰る。


「はぁ……帰ったら、シコって寝るか」


 確か今日は大人気セクシー女優の川北彩夏ちゃんの新作発売日だっけかな?


 なんて、なんとか楽しみを見つけながら帰っている最中のことだった。


 —————ドガン!!!!!



 と、何やらすさまじい鈍音が当たりに響いた。


 耳元でギーンと音がなり、思わず目を瞑る。

 しかし、次に瞼を開くと見えたのは逆さになった地面と月明かりだった


 一体何が起こったんだ?


 疑問と同時に、腰辺りがじんと熱くなる。

 その違和感に居てもたっても入れなくなり視線を下に移すと自分の体を見ると————なぜか、俺は宙に舞っていた。


 頭が下を向き、足が空を指す。

 そして、端に見えるのは白色の車。乗っているのは老人だろうか? 

 これが所謂〇〇〇〇ロケットです、か。


 ――って、落ち着いて分析している場合ではない!


 と思ったが生憎と時がゆっくりと進んでいた。


 これが世にいう走馬灯なのか……なんて感心していると俺はそのまま地面に叩きつけられて、次に目が覚めた時には――







「やっと目覚めましたか、国木田学――」


「えっ——?」






 ———— 気が付けば、そこはウユニ塩湖のような謎の一室だった

 

 上も下も、右も左も、何もかもが反射して自分がどこにいるのかも分からない、そんな不思議な一室。


 ふと、体が覚めて動こうとするが手足が動かない。

 え、なんだ、これ。


 そう思って、足元を見ると俺はパイプ椅子に縛られていた。


「はぁ、ここがどこなのか分からない顔していますね」

「え……何?」


 頭に直接聞こえる声。

 透き通るような高音が脳の中で響き渡る。


 顔をあげて確認しようとすると、そこにいたのは俺の事をゴミを見るような目で睨みつけている謎の美少女だった。












<あとがき>

 初めましての方は初めまして。

 お久しぶりの方はお久しぶり。


 異世界ファンタジーにも手を出し始めているふぁなおです。


 前作が終わり、つぎの長編作品はどんなものにしようか……なんてかんがえているところで思い浮かんだのが本作です。裏の裏の裏をかくのがコンセプトで、タイトル通りスキルの特性が二転三転していますが、ここ大事! テストに出るのでメモしておいてくださいね。


 本作は速読スキルと言う異質なスキルを使う主人公のお話です。そのせいか、最初の方はこの作品の世界観がどんなものになるかを描いていくので10話あたりまでは話が若干ゆっくりかもしれませんがご理解していただけると幸いです。


 それと、ほんとプロローグが短いのは許してください。マジの導入部分なので許してちょ。今日中にあと2話ほど投稿するのでよろしくお願いします。


 本作は若干のざまぁも含みはしますが割とスローな感じのお話なのでゆったり楽しみたい方にはうってつけかと思います!


 とまぁ、こんなところで面白かったらフォロー、☆評価、はたまたコメントレビューもよろしくお願いします。かなり伸びてくれたりしたら終わりまで書いていくので是非是非お願いします。

 

 

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