裕福な生活

@tomoki0105

スマホ中毒

 父と母は裕福な生活をしていた。そして、僕もいい暮らしをしていた。アイスは絶対ハーゲンダッツしか食べない。いや母がいつもそれしか買ってこない。

 家は東京の練馬にあるが、練馬の中では2番目に住みたい街にランクインしているらしい。

 毎日がもったいないぐらい裕福だ。世界で一番恵まれていると言われる国、日本。そしてその日本の中でも裕福層が揃う東京に生まれ、育ってきた。

 やはり何かがおかしい。本当に自分はどれだけ豊かなのかを実感しているのか。どこの高校に行ってもいいと言われ、私立高校に親の文句無しで入学をし、教育費となれば何百万円というお金を費やす。

 感覚が麻痺している。世界に目を向ければとてつもなく貧乏な国、今日もまた水が足りず、食料も足りずお腹を空かせ、栄養失調になったり、十分な医療を受けられたりせず餓死していく人がいるのだ。なのに日本人はスマホはあるは、食料は捨てるは、そして更なる幸せというものを追い求めて贅沢をする。

 美味しい店はどこだ。もっといいホテルはどこだ。旅行はどこに行く。結婚式はどうする。

 僕はそんな日本人を内心気持ち悪いと思いながら斜に構えて見ている。どこか欲望に満ち溢れた生活していたり、誰かと比較をして、優越感を得たり、そういった余裕があるのが気持ち悪いのである。何か本当の辛さを、世界の辛さを実感していないような気がするのである。

 僕もそんな贅沢な者の一員かもしれないが、そう思うたび身の回りにあるすべての環境が申し訳ないなと思う。誰か他の貧困に苦しんでいる人の環境と自分の環境を交換するべきだな、と思う。つまり自分にはこの環境がふさわしくないなと思うのだ。なぜなら僕はそんな環境に在りながらスマホばかりいじってしまい、いろんな人に迷惑をかけたり、勉強をしなかったりしてしまうことが多々あるからだ。

 スマホをいじることによって自分がいやになってしまい、その時に作った僕の詩がある。紹介したいと思う。      

  


   2022年7月26日午前3時6分     

 わからないってことを考えている。何も浮か          ばないってことを考えている。傷ついた人がいる一方で、上機嫌な人がいる。でも、僕はそのよかった人のその喜びを喜ばなくちゃいけなくて、その人の幸せを願わなくちゃいけない。

 将来何しようとか考えながら、色々試してきたけど、スマホいじりすぎてやる気がなくなって、何も浮かばなくなって今なにもしないから、この先もずっとこうなのかって考えたら、将来も真っ黒になって、もっとわかんなくなって。

 だいたい、スマホなんていじっている時間が あれば夏休みの宿題でもやればよかったのに、と今思う。

 それで今、ラインのステータスメッセージで意味のわからない文章を書いている。なぜか何か変わるかもしれないって思ったりして。


「何かしたいことでもあるんですか?」

   

「はい」


「じゃあなんですか?」


「それは、今日よかった、またはダメだった人に寄り添うこと。せめて今日は人の幸せを喜び、道徳だけでも、と思うからである」


 よかった人、おめでとう!明日も頑張れ!

 ダメだった人、痛さも感じないよね、わからない、何も浮かばないよね。それしか言えないよ。こんな僕には。

 何、この僕が大ッ嫌いな自分は。



 この場合だと、スマホを単純に止めればいいのに、僕はそんな時、考え過ぎてしまうことがあった。新たな根源となる思想を見つけて、それを自分の物とし、生まれ変わろうとするのだ。いや、これも模倣にすぎないが。

 しかしその時までは考えすぎることによって新しい考え方が生まれ、却って立ち上がったということもあった。だから高一の夏休みに入ってスマホ中毒になってもずっと考え続けていた。

 しかし夏休みの半分近く考えても解決出来ない、という事態に陥った。毎日がいつも、全く面白くないまま過ぎていた。思想の壁を超えられない自分が嫌になって人生に面白味を感じなくなっていた。だから時間だけが過ぎていた。

 もちろんこんな風にはなりたくなかった。

 夏休みが始まってすぐの時は、テスト後で自分は疲れていなかったが、罪悪感と共になんとなくスマホを使っていただけだった。

 それがテスト疲れを癒すためだと自分に言い聞かせるようになった。

 生活習慣は昼夜逆転をし、朝ごはんと昼食を食べず夕食だけ母の勧めで嫌々食べるという生活をしていた。

 前に学んだ教養を忘れたかような、あるがままの、野生の自分になっていた。

 しかしテストの点数が良く、成績も一学期渡された物が学年でトップクラスに良かったため、尚更、自らのストレスをテスト疲れのせいにして、ずっとそんな生活を続けていた。

 生活習慣が崩れることで気力が薄れ、勉強をしようという気持ちも起きなかった。やる気が出ないのであった。

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