第三十八話 シャルロッテ vs 魔人『マヴル』
「くっ! 」
事前に自身に強化を
よって罠を仕掛け距離を
「少しは傷がついてくれると嬉しいのだがね」
「こんな攻撃。痛くも
「
マヴルから放たれる魔弾を魔法障壁で防ぎ、加速して移動する。
瞬間元いた場所が
そこには
厄介だね。毎回だけど。
木々を
すぐさまそこから移動して
「しつこい男は嫌われるよ?
「くっ! 」
移動も攻撃も
だから読みやすい。
しかしその機動力や攻撃力は
ならば制限させてもらうよ。
「こんなもの! 」
「
「なっ! 効果上昇系の魔法は連続して使えないはず! 」
「なに、僕は
速度に力を
急激に体が
それから逃げようともがくが逃げれない。
そりゃそうだ。討伐難易度Sランクモンスターでさえ逃げれないものだ。
時間
「
もがくマヴルの首めがけて風刃が飛ぶ。
しかし弾かれたようだ。
傷一つない。
「くそがぁぁぁぁぁぁぁ! 」
拘束状態が頭に来たのか体を膨張させ
いやはやもはや魔法使いの
走りながら観察する。
いつ攻撃が来るかわからない。
その攻撃力や機動力に注目しがちだけれど彼は
いつ魔法を放ってくるかわからないのだ。
さっきの強化でかなり魔力を消費しているみたいだね。
これは
魔法使いにとって
「……ふぅ、ふぅ。今までならばこれを使うのはプライドが許さなかったのですがもう方法は問いません。常に進化し続ける貴方に対抗する為です。毒すらも飲みましょう」
「まさか……マヴル、お前」
「
「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!
★
この魔法はシャルロッテが開発した魔法の一つである。
その昔存在した国——エルダリア王国は魔道具産業が
一般国民が普通に魔道具を使い、馬車よりも速い道具に乗り、手紙よりも速い通信手段を持った、いわば魔道具の最先端を行っていた。
その商品を外——つまり国外へ輸出しようとした時、国の上層部はある問題点に行きつく。
それは国外の者が魔道具を使う程に魔力操作に
そもそもこのエルダリア王国というのはエルフ族が
王、もしくは女王を
そこで立ち上がったのが国立研究所
国外の種族を調べた所まずもって魔力操作というよりも魔力が乏しい事に行きついた。
よってそれを
が、それは完成間近で失敗に終わる。
その
理論上は可能。
魔法陣も完璧なはずだった。
だが失敗した。
何故か。
理由は案外簡単で、その可能性を最初からないものとしていたのも失敗の原因だろう。
後からわかることだがその失敗原因は当時副所長をしていたマヴルの――
その後シャルロッテは
心に傷を負ったまま。
★
「あれは……。
森へ移動中巨狼の状態で
(シャルにしては珍しいド派手な魔法。まさか彼女に危険が?! )
シャルロッテが負けるはずはないと思いながらもどこか胸のあたりをぞわぞわさせるバトラー。
今までバトラーはシャルロッテが負けた所を見たことがない。
何が起こっても勝ち気で負け知らずな彼女が負ける姿すら想像つかない。
しかしどこか不安が彼を襲っていた。
(急がねば)
巨大な銀狼はついに東の森へ突入した。
★
「ははは! 攻撃が
「
マヴルに向けて巨大な風刃を放つ。
地面を
「うぐっ! 」
逆に魔弾を放ってきて、それを受け、少し後退。
しかし加速した体で次のポイントへ移動する。
「
「攻撃が
またもや地面に傷をつけながら風刃を飛ばすが
魔力の
すぐさま距離を詰め、拳を――
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
ドン!!! という音を立てながらマヴルがはじけ飛んだ。
「……ふぅ。
「むしろ間に合ったことを
マヴルにタックルをかました銀色の巨狼を見上げて、少し
「にしてもなんか君、蒼白く光ってない? 」
「さて。自分では自分が見えませんから何とも」
「後で鏡を貸すよ」
そう言いつつマヴルが吹き飛んだ方向を見る。
火傷のようなものを負ったマヴルが立ち上がろうとしていた。
タックルであれほどにダメージを与えたとは。
これはバトラーの変化が原因かな?
しかし好都合。
今日こそは逃がさない。
こちらに
「不滅結界」
そう
魔法陣が発動したのだ。
そして連動するかのように次々に無数の魔法陣が、風刃により作られた疑似的な
当然の
「……貴方さえ、貴方さえいなければ僕はっ! 僕はっ! 」
マヴルを閉じ込めるための結界を張り逃げれないようにした。
しかし
「マヴル。君の
「分かっております」
バトラーに声を掛けると彼から蒼白い『聖光』が放たれて――魔人『マヴル』は
★
「いやぁ。
「……にしては
マヴルがいた場所へ足を進めながらバトラーに
「そんなことは無い。まだまだ
「その
「そうさ。故に奴を閉じ込めるための結界も準備していたわけで」
ニカァっと笑いながら狼獣人状態のバトラーを見上げる。
そこにはどこか
「い、いや。君が必要なかったわけではないわけで。そんな顔をしないでくれたまえ」
「……頼る時は頼ってください」
それを聞き、すぐに口角を上げる。
「いいんだね? 本当に。頼って」
「いや、今の無しです」
「なんでさ」
「
ちぇ、こき使ってやろうと思ったのに。
まぁ良いか。
「さて、これだが」
足を止めて一つの大きな石を拾い上げる。
「魔石ですね」
「ああ。あのマヴルのだ。彼は元はエルフ族の人間。しかし邪神教団に入ることにより魔人となり、モンスターへと
「話しを聞くだけでもおかしなことばかりです」
「ま、それだけ世界は未知に
「……冒険者ギルドに提出するのですか? 」
「……」
「
「えぇ~」
「ええ~、じゃありません。これ以上問題になるようなことを起こさないでください。いいですね? 」
「……わかったよ」
「ならいいのですが」
そう言いルーカスの町の方を向く。
「さ、帰ろうか」
「ええ」
こうしてボク達は森を出た。
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