第二十九話 ニアとシルヴァ 六 想いは違えど
「見ましたか! 真っ赤な顔! 」
「いやあれはなんというか……」
「
「絶対に
休憩室のソファーに座ったニアが機嫌よくそう言った。
対面に座るボクとバトラーはその様子を見てなんとも言えない表情をする。
シルヴァの反応を見る限りだとニアが作業を始めた時「綺麗」と聞こえたのは恐らく幻聴ではないだろう。
剣の修復や調節が終わり帰る頃には顔を真っ赤にして、まるで逃げるかのようにこの工房を出ていったのだが、さてこれからどうするのやら。
「冒険者の、
「パーティーの方が付いているので大丈夫では? 」
「メンタルがパフォーマンスを落とすことは
そう言いつつソファーから立ち上がる。
シルヴァの行動が余程
「さ、次の仕事をやろう。まだまだやること、覚えることは多いんだ。行くよ! 」
「はい! 師匠! 」
★
「……今日はやたらと調子がいいですね」
「? そうか? 」
エラルドがニアに魔剣の
依頼内容はゴブリン退治。
ゴブリンは各村を襲う
しかし
だがその脅威度は上位種の発生により格段に上がる。
集団の
「いつもよりも好調に見えますが」
「確かに体の切れはいつもよりもいい」
「何かあったのですか? 」
「いや、特には」
「……ニア殿、でしょうか? 」
瞬間シルヴァの顔が赤くなる。
これは
「確かにあの技術。一流でしたな」
「……認めてやってもかまわない」
「素直じゃありませんね」
「う、
「差し
またもやシルヴァの体が熱くなる。
重症だ、とエラルドは思いつつもその成長に少し悩んでいた。
(恋をするのは良いのだが……。今の所いい意味でパフォーマンスが上がってる。しかしやり過ぎるとなると話は変わる)
「理由はともあれ向上心に
「やり過ぎる? 」
馬鹿なことを言っているとばかりにエラルドを見るシルヴァ。
だが
「過剰な努力や
「……努力はしているが、そこまで過剰じゃない」
「今の所は、ね」
「何が言いたい」
「時が経つにつれて、想いがつのり、そしてやり過ぎるかもしれないということです。もしそのようなことになるくらいなら一層の事ニア殿に
「~! 」
「
それを見て
(なるほど。確かにこれはシャルロッテ様が言う通り、見ていて面白い)
シャルロッテが言ったのは二人のやり取りが面白い、ということである。エラルドが行い、感じているものとはまた違う。
だがエラルドはシルヴァの反応を楽しんでいた。
「
この後も彼は色々と――怒られるまで――
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