第二十六話 ニアとシルヴァ 四 再会
「ふぅ。出来た」
その言葉と同時にどっと疲れが降りてきた。
部屋に
少し光っているのが何より出来ている
「結構かかりました……」
「仕方ないよ。これでも速い方だ」
「そうなのですか? 」
「ああ。通常こんなに大きく高性能な
「へぇ」
ニアが大きな
それを苦笑いしながら付け加える。
「錬金液の材料は安いんだが
そう言い席を立ち巨大な丸いガラスの元へ行く。
正直作り過ぎた感は、ある。
まぁ機材自体が大量生産用だ。そこに大量の材料をぶち込んで作ったんだ。仕方ない。
練習用と
ガラスの前まで行くとボクはニアに顔を向けた。
「ニア。錬金液はあとどのくらい残っている? 」
「ええっと……正直あまり残っていないですね。最近仕事量が多かったので」
「ならば売るよりかは使った方が良いか」
そう言いつつ温度調節器の
「これからも忙しいだろうし手元にあるに
「え……。忙しい? 」
「ん? ああ、前も言ったが人気の魔技師となるとあのくらいの量は
倒れない程にしながら、と付け加えてくびれている巨大ガラスの首の部分を
ううう……。バトラーじゃないがすごい臭いだ。
毎回嗅いでいるとはいえ慣れることはできない。
いや人類はこの臭いに慣れることが
慣れることができた魔技師がいるのならば会ってみたいね。
そう考えていると作業が終わる。
前を向くとニアも同じように
ボクが持っている
キュキュっとニアも
少し余った状態のガラスを見て、そしてボクの方を向いた。
「この
その言葉を受けてボクも自分のガラスを見る。
中には
通常、この二つを混ぜただけではこうはならない。
しかも
そして
「ん~どうしたものか。魔境で作る分にはモンスターにぶつけてダメージを負わせる武器にしていたのだが、残念ながらここにはモンスターはいない。かといってこれをそこら辺に
「ダ、ダメージ?! 」
「この
「そんな危ない物を大量に?! 」
「と、言うか君も作ったことあるんだよね? どうしてたんだい? 」
そう言うと軽く窓の方を向いて顔をそのままで答えるニア。
「……庭に……捨ててました」
それを聞き納得した。
が、いい方法ではないのは確かだ。
「……まぁ少量作る分にはそれでいいのかもしれないけれど、この量をどうするか」
「業者さんってどうしているんでしょうか? 」
「さて。ボクは業者じゃないからわからないし。案外ボクと同じようにモンスターを倒すための飛び道具を作っているのかもしれないね」
そう言っていると扉からノックの音がした。
同時にバトラーがボク達を呼ぶ声が。
「……
そう言いつつ再度温度調節器に魔力を流し、起動させ、ガラスを
★
「本日は突然の
バトラーの声に
山に行った時に見かけたメンバーだな、と思いつつ
着ている白衣のポケットに手を突っ込みながら
「君は確か……」
「申し遅れました。Fランク冒険者のエラルド、と申します。以後よろしくお願いします」
「Fランク冒険者、ね」
そう言う自称冒険者を軽く
ぶるっと震えて気はするが気にしない。
貴族の
意図は見えるが、何故そんなめんどくさい事をするのかわからない。
「そしてこちらは同じくFランク冒険者の――」
「シルヴァだ。よろしく頼む」
こちらは御機嫌
相手の対応はあまりよろしくないのだが、恐らくその根本的な原因はボクの隣にいるニアだろう。
「きしゃー!!! 」と
大人しく人見知りな彼女のどこに触れたのかわからないが、今の所目の前の貴族子息はニアにとっての
「工房主が先に
と、言いつつバトラーに目線を向ける。
「私も同様冒険者のバトラーと申します。シャルの同居人のようなものです」
そう言い軽くお辞儀をするバトラー。
彼が挨拶した後ニアに目線を移す。まだ
しかしこのままではいけない。
軽く
「……コホン。私はカーヴ工房の工房主、ニアと言います。今日は
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