第776話 ビーレアへの偽装攻撃2

「ラーフェン王国の攻撃か?」

「騎兵部隊で様子を見て来い!」

 城門が4つとも一気に火魔法で破られて混乱するビーレアを占拠しているムスターデ帝国の占領軍。


「よし、狼煙があがったみたいだな」

「この狼煙はエアライツとナウエリスの両方に伝わりますね」

「そうだね。今のうちにエアライツの東門にも行っておこうか」

 元々の狙いは、エアライツの街の西側に陣を構えた帝国からの援軍1万の力を分散させることである。

 エアライツの東側にあるビーレアの街が襲われていることを知れば、東側にも軍勢を割り当てる可能性があると期待している。


 その後押しのためにも、エアライツの東門の門扉も焼き落としに向かうジェロ達。

「混乱しているみたいだね。確かにラーフェン王国軍は、西のインラントの街を奪還した王弟部隊と、東のナウエリスの街を取り囲んでいる王女部隊だけ。エアライツの西側の1万の軍勢と衝突していないならば、王女達がナウエリスを陥落させてビーレアに手を伸ばしたのか、とも思ってくれたのかな」

 東門付近でビーレアに向かうための軍勢を編成しようとしているようであった。


『じゃあ、ここでも悪の親玉を演じるのね』

『う……仕方ないよね』

 ヴァルにからかわれながら、コンスタンに東門付近の軍勢に対してワイバーンのブレスを吹かせる。さらに混乱した帝国軍がワイバーンから逃げ惑い、城門付近から人が追い払われたのを確認したジェロは、この東門の門扉も燃やしておく。

 ビーレアと違い、ここでは少しの矢と攻撃魔法も飛んで来たが、気にするほどではない。


「無駄な抵抗はせず、ラーフェン王国に早々に降伏するのだな!」

 風魔法で脅しの声を広めてから上空に飛び去るジェロ達。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る