第774話 再びエアライツへ3
「やはりそうなるか」
「困りましたね」
空を飛べるジェロ達が先にエアライツの様子を見に行くと、帝国からの増援部隊であった1万ほどの部隊がエアライツの城壁の中には入らず街の手前に陣を構築していた。
元々エアライツを占拠している帝国軍は1,000人ほどとの情報があった。その規模の街に1万人もの追加の軍勢が入れるわけがない。
その人数が足かせになるようにジェロ達が兵糧を焼いたのだが、もうエアライツから補充したと思われるのでその人数がそのまま脅威になってしまった。
このまま時間稼ぎをすれば兵糧不足になってくると期待もできるが、その場合にはエアライツの住民達も食糧難の被害を受けるので、とりたくない手段である。ジェロは早く帰国したいのでなおさらである。
このままでは人数も多く熟練度も高いムスターデ帝国軍に、ラーフェン王国軍が勝てる見込みがない。
確認した状況を報告した軍議においても良い案を提示できる者は居ない。
「このエアライツと、モーネ王女殿下の攻められているナウエリスの間にある街の名前はビーレアで良かったですか」
ジェロの質問に対して、意図を理解した魔術師団のレーハーゲル副団長。
「なるほど挟み撃ちですか。空を飛べるテルガニ伯爵ならではの発想ですね」
「ビーレアを攻め落とすというのか?兵力の分散はできないぞ」
「いえ、あくまでもビーレアも攻撃を受けていると思わせるのです。ナウエリスが陥落したのか等の不安を煽るということかと」
面倒に巻き込まれたくないジェロはせっかくレーハーゲルが戦術説明を担ってくれたので、そのまま任せっきりにしてしまう。
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