第772話 再びエアライツへ
インラントの街で、即効性のある魔法回復薬(ポーション)ではなく通常の回復薬のみで手当されていた騎士団員たちの治療行為を行うジェロ、リスチーヌとアルマティ。
薬草などは残っているようなので、ポーションへの調合も行ってこの街の備蓄に追加しておく。
「テルガニ伯爵、ありがとうございます」
素直にお礼を言える者もいるが、副団長のハーニッシュから聞いている悪口を踏まえてなのか微妙な反応の者が多い。
ただ、リスチーヌとアルマティという美人からの治療には素直なようである。万が一のためにネベルソンとサグリバスをそれぞれの護衛につけておき、ジェロはポーション調合をするように役割分担を決めた。
インラントの街の近くから帝国軍が消えたこともあり、近くに建設した砦とも密に連絡が取れる状態になっている。
「そうですか。ミュンヒ地方でも独立は難しい状態でしたか」
インラントを占拠していた帝国軍の司令官と騎士隊長であったロイスナー兄弟。彼らもミュンヒ地方の近くの元ロイスナー王国の王族であったが、ミュンヒが20年前、ロイスナーは50年前に併合されたので復興は諦めている。
「そうなるとロイスナー地方の王国復興は絶望的ですね」
「王国復興は無理でも、ミュンヒ地方のように苦しんでいる住民を他国に避難させることはあり得ますね。その際には我々にもテルガニ伯爵のご支援をいただけますか?」
「開拓地への避難民の受け入れぐらいならば。さすがに帝国内での戦闘行為は難しいですので」
「それだけでもありがたいお言葉です」
「さて、インラントの街を占拠していた我々も今回はエアライツの奪還戦に参加するように指示されております。今度はテルガニ伯爵の味方ですので、安心ですね」
「いえいえ、前回はエアライツのリアム司令官に撃退されていますので」
「まぁ足を引っ張る味方というのが一番厄介ですしね」
「最後の話は聞かなかったことにしますね」
ニヤリとする兄のオーティス・ロイスナーの顔を見ると、ジェロはまた面倒なのがいる、と思ってしまう。
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