第771話 再びインラントへ3
別室に呼ばれたジェロはルネリエル王弟に、不在にしていた期間に起きたことを教えられる。
「帝国の増援部隊、約1万人の軍勢は結局インラントの街の付近までやって来たのです。ただ、荷馬車などを燃やして頂いていた情報があったのであまり不安にはなっていませんでした」
「では?」
「そして、元々先発で来ていた騎馬隊の残りと合流したと思うと東方面、おそらくエアライツの街の方に向かい出したのです。兵糧もないという情報から、一戦もしないまま去っていくのも当然と思いました。そこへ、一部の者が追撃の機会であると言い張り、騎馬隊で攻めて行ったのです。ただ、相手の司令官はそんなことをお見通しだったようで、手痛い反撃をくらいました。帝国軍はそのまま悠々と東に向かうのが見えました」
「騎馬隊ということは」
「はい、騎士団のハーニッシュ副団長です。その結果、騎士団には怪我人が多く今も治療を待っております。この街に回復魔法使いはそれほどいなく、また魔法回復薬(ポーション)の残量では命の危険がある重傷者を優先してしまい、そこまでではなくても戦場には復帰できない程度の怪我人が多く残っております」
「わかりました。仲間達と治療に向かいます」
「ところで、その仲間という方々はかなり減ったようですが」
「はい、ミュンハーフェン住民の避難に護衛としてつけましたので、今はワイバーンに乗れる者が1人、飛翔できる者が4人だけになっています」
「テルガニ伯爵が捕らえた帝国軍の騎兵部隊や、この街にいたロイスナー兄弟などを提供したいのですが」
「いえ、この身軽になった人数の方がお役に立てると思いますので」
『あの騎士団のやつにこれ以上の人数を預けたくなかったんじゃないの?』
『それは分かっているのだけど、面倒を引き受けるのとセットになるし』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます