第724話 インラントの戦争奴隷たち3

 色々と検討した結果、もともとインラントの街を占領していた部隊は、街を取り囲む帝国軍に攻撃を仕掛けた後に砦に戻る囮とすることになった。そしてルネリエルたち王都から来た部隊のみが街に入り、ルグミーヌ王国からの援軍は砦に残ったままとする。

 ジェロ配下の100騎も、色々な業務を受け持てるように砦に残るので、街を取り囲む帝国軍への牽制を受け持つことになった。


「では半数はヤーコプが、残り半数は私ディートマルが指揮を取ります。東門に王弟殿下たちを送り込むために、我々はいったん東門に向かった後に南北の二手に分かれてから砦に戻ってきますね」

「無理してはダメだよ。怪我だけなら治せるから絶対に帰って来てね」

「ジェロマン様、奴隷に対してですから死んで来いと言ってくださって良いのですよ」

「ディートマル、誰一人死んで欲しくないんだよ。敵方もだけど」

「ジェロマン様はそういう方ですよね。承知しました。ありがとうございます」


 まず東門の付近にいる帝国軍に対して、ワイバーンが上空から牽制して少し隙間を作らせる。その上でその隙間に対してブレス攻撃をさせたり、ジェロたちが≪炎壁≫などを発動したりすることで、少しずつ間隔を広げていく。

 そしてその隙間を目指したかのような動きでディートマルたち100騎が先導した元帝国軍の数百騎たちと攻め込んでいき、それに誘導された帝国軍を引き連れて今度は南北に分かれていく。

 そのようにして広がった空間にルネリエルたちラーフェン王国軍の本体が突き進む。馬車など足の遅いものは砦に残してあり、騎馬だけであるのでそれなりの移動速度である。


 ルネリエルたちも一部の帝国軍とは戦闘になるが、やはり危険なのはディートマルたちであるので、帝国軍に追いつかれそうになるたびにジェロ、アルマティ、そしてヴァルたち悪魔たちと手分けして壁魔法を発動して足止めをする。

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