第723話 インラントの戦争奴隷たち2
「戦争奴隷の手続きが済んだ者たちを順次配備にまわして行けばよろしいでしょうか」
インラント近くの砦の構築などを任されていたロイスナー兄弟。約50年前に滅ぼされたロイスナーの王族ではあるが、国家復興は望んでいないようであり、3,000人の捕虜の取りまとめなども任せてあった。
インラントの街は、ラーフェン側に取り戻した後も、今回のように防衛の要所になるが、元々占領していた将兵たちがそのまま防衛隊になるのを住民感情的に許されないことは理解している。そのため、街から離れた砦の構築をしていたのである。
「今回捕虜にした騎兵たちを優先してインラントの街に配備しよう。もともとインラントを占拠していた将兵たちはエアライツなど他の街に配備するか、我々と同行して最終的に王都ジークセンに連れて帰るので良いのではないか」
「は、ルネリエル王弟殿下のおっしゃる通りかと。ただ、まずはインラントを取り囲む帝国軍の撃退に活躍して貰いましょう。そのためには取り上げていた武具の再配布など人手がいくらあっても足りませぬ」
「それにこの砦に多くの将兵が集まったため、食糧などの不安が出てきております」
奴隷手続きが終わった者には武具を扱う業務を割り当てるとともに、インラントの街から食糧を持ち込む業務は魔法の袋を所有して空を飛べるジェロたちにまわって来る。
そのジェロを経由して、街の守備を任されていた魔術師団のレーハーゲル副団長とも意識合わせた結果、ルネリエル王弟たちも街に移動することになった。
当然、砦から街に軍勢が移動するとなると、街を取り囲む帝国軍との衝突が発生する。
「奴隷たちを先発隊に使えばよろしいのでは?」
ノイナイアー侯爵や騎士団のハーニッシュ副団長などは気楽に言うが、生き残ればそのまま街に一緒に入るため住民たちの感情が心配である。
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