第714話 インラント急襲2

 ジェロとアルマティの2人だけがまず≪飛翔≫でインラント付近に到着する。

「騎兵ばっかりだね。速度を重視して来たんだね」

 インラントの街を3,000ほどの騎兵が取り囲んでいるように見える。しかし、それだけでは頑丈な守りのインラントの街が陥落するように思えない。

「もしかして、まだラーフェン王国軍が街を取り囲んでいるところを、街の内側と外側から挟み撃ちにするつもりだったのかな」

『砦の方にも気づいて、一部はそっち向かいに陣を組もうとしているみたいね』


 まずは上空からインラントの街に向かい、城壁の上で指揮をとっている魔術師団のレーハーゲル副団長の隣に降り立つ。

「おぉ、テルガニ伯爵。流石の速度ですね。ありがたいです」

「今はどのような状況でしょうか?」

「はい。ご覧のように、街を取り囲みはされましたが、実際の戦闘にはなっていません。

集めた志願兵の一部が、気がはやって矢を射ってしまいましたが、届く距離でもなく」

「あの数でも騎兵だけでは街は落ちないですよね」

「そうですね。おそらく、インラント解放がまだで我々ラーフェン王国軍が街を取り囲んでいると考え、その我々を背後から急襲するつもりの騎兵だったのでしょう。街を騎兵だけで攻め取れるとは考えていないと思いますので」

「やはり。となると、あの砦も驚きだったでしょうね」

「はい、きっと想定外が続いて、指揮官も困っていると思います」


「ではこの後はどうしましょう?」

「一番困るのは、あの3,000騎がエアライツを攻めているルネリエル王弟殿下たちのところに向かうことです。そうすると、まさにエアライツの街の内と外から挟撃になりますので」

「では、彼らが東に向かうそぶりをすれば、後ろから攻撃するぞ、と思わせる必要がありますね」

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