第711話 エアライツ周辺3
エアライツの城門を焼いた後、街を占拠する帝国軍がなかなか挑発に乗らず、落とし穴のところにまで連れて行くことが出来ない。
「このままこう着状態というのも。インラントのときのように、帝国軍の目付をさらって来て貰えないですかな?」
ノイナイアー侯爵の言い方に引っかかるものはあるが、ジェロ自身もその手段を考える。膨大な火力の魔法では住民にも被害が出るのと、あまり構造物を傷めると街を解放した後に修繕する苦労をルネリエルたちがすることになるからである。
インラントを占拠していたオーティス、ザームエルの兄弟から、このエアライツの街を占拠している帝国軍も同様の目付体制をしていること、その目付の目印も同じ腕章であることは確認済みである。
「ジェロ様、今回はロイスナー兄弟のように事情を知る者が居ないため、危険度が高いと思うのですが」
「マドロール、ありがとう。確かにそうだけれど、まず1人をさらってその人から情報を得ていくしかないかなと」
「はい……どうかお気をつけて」
リスチーヌと魔人ネベルソンはミュンヒ地方に送り込んで不在のため、アルマティと悪魔たちだけで作戦を決行する。夜に街の上空へ飛んで、中心にある代官館付近にまで来ている。
「ハポリエル、腕章の人物にあたりはつけられた?」
代官館にいる目付ならば位も高い可能性が高いと推測し、昼間のうちにハポリエルに確認させていたのである。
結果、代官館のとある部屋で何本もの酒瓶をテーブルに並べて飲んでいた男をさらうことに成功する。
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