第667話 出征

 ヒルデリンに付けた魔人ベルフールたちの情報を聞いたジェロは急ぎ出発する。

「じゃあ、コンスタンとマドロール、お願いね」

「はい、戦馬がいる部隊はそのまま山脈を越えてゲンベラン方面に向かいます」

「そうだね、こんなに大きくなったワイバーンの従魔はモージャンやニースコンで驚かれるだろうから、山越えはコンスタンにお願いね」

「はい、私は戦馬がまだ未調達の騎兵隊の一部の皆さんと共にアナトマさんのところに寄り戦馬に乗り換え、さらに不足をニースコンでも調達しながらゲンベランに向かいます」

「うん、お願いね。騎兵の皆さん、今までの愛馬も手放したくないらしいから、ちゃんと開拓地テルヴァルデに連れて来てもらうお願いもしておいてね」

「承知しました」


 100人もの騎馬隊でコンヴィル王国内を堂々と移動すると、さすがに冒険者クランだと言っても問題になりそうなので、大多数は領地内である山脈越えをして貰う。戦馬の脚力ならば問題ないことは確認済みである。

 また、何か言われたときのために他人に見える街道で移動する際には、テルガニ家の統一の黒ローブを羽織るように指示してある。左胸のところにテルガニ家の紋章がさらに黒色で縫われていて目立ちはしないが良く見ると分かる物である。


 というのも、ジェロ達はまずラーフェン王国の王都ジークセンに行きモーネ王女たちに冒険者クランへの依頼を発出して貰う必要があるのと、その後はすぐにリブルドーの街を襲っている魔物退治に向かうため、別行動を予定している。

「ジェロ様、では私たちも行きましょうか」

 ジェロ、リスチーヌ、アルマティ、そして魔人のネベルソンの≪飛翔≫ができる4人である。ミュンヒ達に配った残りの黒ローブをネベルソンにも渡して羽織らせている。クリノームとベルフールに渡すためにも、残りはジェロの魔法の袋に収納してある。

「ガニーの屋敷では意外と美味いものを食べられたのに、もう出発か」

「あなた舌が贅沢になっちゃったんじゃない?」

 ネベルソンに対してリスチーヌが突っ込む変なコンビに見えてしまうジェロであった。

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