第651話 戦争奴隷の魔人2

「クリノームとベルフールの力を悪用しようとする人が出てくるかもしれないけれど、ヒルデリン王子か自分たちのためになるかで考えてね」

「それでも迷うときには?」

「相談して貰えたら良いのだけど、遠隔地で連絡を取るのは難しいよね……」

『彼女たちの悪魔を私の眷属にすれば簡単よ』

『良いの?』

『ま、良いわよ。無制限に増やすわけではないし』

 結果、彼女たちの契約悪魔のアグラース、ラマタンだけでなく、ネベルソンの契約悪魔のシトリーもヴァルの眷属にすることで、離れたところでも相談することが可能になった。


 戦争奴隷の女性2人をヒルデリン王子の付き人にすることになったことだけは陣内に周知するが、それが魔人であることは極一部の人しか知らないようにすることも含めて、ドゥケ司令官とデュクロ副官に了承をとってある。

「依頼主のラーフェン王家ということですな」

 特にデュクロは理解を示してくれ、今後も便宜を図ってくれるとのことであった。



「これでこの王都ルージャンの用事は終わりかな」

「王都の完全奪還まで確認されないのですか?」

「もう魔人たちも敵ではなくこっち側になったのだし大丈夫だよ」

「ガニーに戻られるのですか?」

「いや、ラーフェンの王都ジークセンに行かないとダメだろうね。依頼の達成報告と合わせて、ヒルデリン王子に勝手に付き人、それも魔人2人をお願いしたことなども直接に報告しておかないとね」

「叙爵と領地の件も、ですね」

「そうだね……」

『モーネ王女の顔が見られるじゃない。良かったわね』

『ルネリエル王弟殿下が何かと企んでそうで、腰が引けるんだけどね』

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