「テルガニ子爵、突然のご来訪、驚きましたぞ」

「ドゥケ侯爵、ここでもお会いできるとは思いませんでした。助かりました」

　皇都からラーフェン解放として派遣された軍の司令官であったアクセル・ドゥケ。彼もジェロの顔を覚えていたおかげで陣の奥で席につけている。

「今ヒルデリン王子殿下に声をおかけしていますので、お待ちください」

「ありがとうございます」

「その間に現状の共有などを」

　ジェロは認識していなかったが、ドゥケはラーフェン王国の北部を解放した後、今度はベルカイム王国の解放軍を司令官として任されていた。リブルドーの街を解放し、そのまま北上して王都ルージャンまで進軍したところまで順調であった。

　途中から、ベルカイム王国のアンネ王女とラーフェン王国のヒルデリン王子も合流した。皇国軍として別経路であるランソンヌの街から西に向かって来た軍勢、さらにはコンヴィル王国からもサンレーヌから東に向かって来た軍勢のそれぞれが合流して、いよいよ王都ルージャンへ攻撃開始したところで、帝国軍から手痛い反撃を受けたとのこと。

　空を飛び、強力な火魔法を皇国軍、コンヴィル王国軍それぞれの軍勢に投げ込まれ、逆にこちらからの攻撃魔法や弓矢攻撃などは効果がなかったという。

「今、コンヴィル王国軍はどちらに？」

「王都に近づきすぎなければ反撃をして来ないようで、少し西側に下がっていると聞いています。皇国軍もこうやって王都から東側に下がっているように。ただ、王都からリブルドーの間の街は再び帝国軍に占拠されてしまったと伝令が伝えて来ています」

「はい、ここに来る途中でそれは見て来ました……」