第630話 元ミュンヒ王国2

「ジェロ様、ミュンヒから避難民を受け入れるならば、経路になるラーフェン王国の南部の解放が先に必要と思われます」

「レナルマン……」

 今回に強く発言をしたのはグンドルフだけであったが、少なくともミュンヒの貴族や王族であった隊長以上の5人には強い想いがあることを改めて確認した。

 しかし、戦争には絶対正義はなく、それぞれに言い分があるのではないか、戦争をせずに平和的な解決手段はないのか、と先に考えてしまう前世記憶に影響を受けているジェロ。


「馬に乗れる騎兵の何人か、ミュンヒに戻って様子見をするのと、土地を離れてここに来てもいいと思う人がいるか確認してくる?」

「よろしいのですか!?」

「人選は任せるね。路銀なども遠慮せずに」

「はい、ありがとうございます!」


 ディートマルたちと離れ、開拓地テルヴァルデからガニーの屋敷に戻ってからもこの話題は続く。

「ジェロ様、いいのですか?また戦争に巻き込まれるのではないですか?」

「イド。そうなんだけど、縁があって仲間になった人の家族だから……」

「イド、それがジェロ様の良いところじゃない」

「そうなんだけれど、祖国を離れたくない人もいるだろうし」

「何が正解か分からないけれど、目の前の困っている人を助けられるならば助けたいかな」

「ジェロ様がそのご意向なのであれば」


 戦争の気配としてミュンヒのある南方に意識が集中していたが、現在の戦火の中心は東方である。その東方のベルカイム王国についての使者が、ラーフェン王国からガニーのジェロたちの屋敷に訪れる。

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