領地ができた侯爵
第629話 元ミュンヒ王国
ベルカイム王国との国境の山脈で、コンスタンとルッツに合わせてアルマティ、リスチーヌとも一緒に魔物狩りに励むジェロ。
≪飛翔≫もできて実力はあるのにいまだに銅級だったアルマティは、その狩りの成果で銀級に昇格しておく。
これらの素材で、戦争奴隷たちも含めた仲間たちの装備、さらには開拓地で働くようになった孤児院の子供達がガニーの街と往復するときの防御力が向上することに期待できる。
カスパーが率いる歩兵も開拓地の基礎工事が終わり職人たちに後を任せられるようになった後は、アウレーリウスが率いる弓兵と一緒に、開拓地から南方の山脈での街道整備と合わせた狩りを任せている。ヤーコプ率いる騎兵はガニーとの往復による踏み固めでの街道作りに目処が立てば、東方の山脈近くの草原での魔物狩りで訓練させる予定である。
「ジェロマン様、本当に私たちは戦争に行かなくて良いのでしょうか?」
ディートマルたちは、ムスターデ帝国に使い捨てにされる二等国民としての将兵扱いと違い、装備も充実、衣食住も次々に改善されていくことに違和感を感じている。
「最初に言ったように、戦争には関わらずに済むならばそれに越したことはないよね。ま、魔物からみんなを守るためもあるし、万が一のための訓練だけはしておいてね」
「はぁ、それは理解しているのですが……」
「ジェロマン様、ディートマル様は帝国の勢力を」
「グンドルフ、余計な話をするな!」
「いえ、やめません。ジェロマン様、祖国ミュンヒから帝国軍を追い出したいのです!」
「え!?そうは言っても」
「ラーフェン王国から帝国軍を追い出した立役者のジェロマン様ならば!」
「ラーフェンどころかベルカイムにも帝国軍が残っているのに、それより向こうの国家なんて」
「ジェロマン様、ミュンヒはルグミーヌ王国の南東、ラーフェン王国の南西にあった王国です。帝国の支配下になったのは20年ほど前になります」
「マドロール、ありがとう……」「戦争するというよりも、虐げられている人をこの土地に逃して平穏に暮らして貰う方が現実的じゃないのかな?」
「先祖代々の土地を離れて、というのですか!」
「グンドルフ!ジェロマン様、もし逃げてきたら受け入れて貰えるのでしょうか?」
「え、もちろんだよ。みんなの家族、親戚ならばなおさら」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます