第627話 ルッツの成長

 仲間に悪魔のことも紹介し、開拓地の名前も決めたので少しゆっくりできているジェロ。テルヴァルデでの働き手、貴族としての家臣の追加など先送りしていることはまだあるが、開拓も順調に進んでおり少しホッとしている。


「ジェロ様、ルッツが」

 コンスタンが、成長してきたワイバーンの従魔ルッツがガニーの屋敷の広場では我慢できず、開拓地近くの森やガニーから離れた草原などで狩りを楽しんでいる話を相談して来ても、余裕を持って聞くことができている。

「もともとAランク魔物のワイバーンだから、あれだけ大きくなって来たら角兎ホーンラビット程度では物足りないのだろうね。もうちょっと森の奥にも自由に行かせた方が良いのかも」

「そうはおっしゃいますが、まだまだルッツは子供で」

 コンスタンが立派な体格に似合わず、と言って良いのか、過保護なようである。

「コンスタン、その体格を背中に乗せられるようになったワイバーンを子供と言っていたら、ルッツも拗ねると思うよ。大人に成長していることも認めてあげないと」

「ですが……」

「心配ならば、≪飛翔≫ができるアルマティやリスチーヌと一緒に、コンスタンもルッツに乗って狩りに付き合えば良いと思うよ。ルッツも喜ぶよ、きっと」


「ジェロ様!私たちを狩りに行かせている間に、≪飛翔≫でどこかに行かれるおつもりでしょう!」

「いや、俺の近くにはヴァルやリバイモンたちが居るから」

「やっぱり!ベルカイム王国との国境の山脈に行くつもりだったんでしょう!」

 リスチーヌにはバレたようで、仕方なく4人でそちらに向かうことにした。


 リバイモンが狩った素材をアナトマに販売する言い訳作りである。まだルッツはワイバーン同士で戦うには成長不足のようだが、Bランク魔物のドレイク相手にはちょうど良いようで、銅級のコンスタンが上を目指す訓練と考えてもちょうど良い感じだった。


「テルガニ侯爵、こんな素材をたくさん……テルヴァルデに職人たちを連れてきてここで作業をさせるのでも良いでしょうか?」

 アナトマの話を聞いているとテルヴァルデの人口が増えて行きそうである。まだ環境が揃っていないのに……と思いつつ、仲間達の装備増強のために作業する職人の手配はありがたい。

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