第602話 近隣領主への挨拶2

 モージャンの後はガニーとニースコンのどちらに向かうか迷ったが、まずはこれからますます縁が濃くなるはずのガニー領主のところに向かうことにした。


「ジェロマン様、お帰りなさいませ」

 いったん自分たちの屋敷に帰り、無事を報告するのと合わせて、王都土産を隣の孤児達にも配る。

「「ジェロ兄、ありがとう!」」

「ジェロ様、現実逃避はダメですよ。貴族のお付き合いの合間の癒しは結構ですが」

「う、分かっているよ」


 それでも誰かと一緒に行けるのならば、と昔の上司であるメオンの方に先に足が向かう。

「あぁ、ザールさんから書状は届いていたから認知しているぞ。領地のどこに開拓村などを作るのかによってもガニーの出張所で良いのか悩むところだが」

「普通に言うと、レジスタンス拠点になっていた廃村ではないのでしょうか」

「それだとラーフェン王国のゲンベランの街から出張所になるだろう?そうすると権益がコンヴィル王国のギルド本部ではなくラーフェン王国のギルド本部側になってしまうな」

「ザールさん、それも見越してガニーの出張所を先に作ってしまうつもりだったのですね」

「あぁ、相変わらずしたたかだよな。まぁ揉めないように、山脈の北側に開拓の拠点を作ってくれたらそこに出張所を作ることにするよ」

「それで……」

「分かっているよ。一緒に行けば良いんだろう?せめてガニーの街の中ぐらいなら付き合ってやるよ」


 無事に、冒険者ギルドマスターであるメオンと一緒に領主ルーセル・アルカン・ガニー男爵のところに訪問できることになったジェロ。

「テルガニ侯爵、お話はお伺いしております」

「はい、このガニーの東と南をこれから開拓していくことになります。よろしくお願いします」

「頼もしい限りです。先日も東の山脈からの魔物の群れに対して、テルガニ家主従のお力がなければこの街はどうなっていたことか。引き続きどうぞよろしくお願いします」

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