第596話 王都での挨拶まわり2

 冒険者ギルドのあとは、調整していた王国魔術師団へ向かう。

「テルガニ侯爵、ようこそお越しくださいました!」

「ラロシェル団長、ご無沙汰しており申し訳ありません」

「いえいえ、各地でのご活躍拝聴しておりました。また昨日の王城では会話できる場所でもありませんでしたし。本日早々にお越し頂けただけ幸いです」

 相変わらず腰の低い丁寧な魔術師団団長である。


「本日も非常勤講師の技のご披露をお願いできるのでしょうか?」

「はい、ではまずそちらから」

 訓練場に移動すると、魔術師団員たちが待ち構えている。ルグミーヌ王国に一緒に行ったクロヴォン・タルブの顔も見え、いまだににらまれている気がする。

「では、非常勤講師のジェロマン・テルガニ侯爵に実演を頂く」


 以前にここで披露したのは、ルグミーヌ王国から帰ってきた時であり、当時は≪豪炎≫≪炎壁≫≪氷槍≫≪氷壁≫を実演していた。

 それ以降に習熟したものは多いので、まず≪飛翔≫で上空にあがり、≪豪炎・改≫≪火槍・改≫≪炎壁・改≫、≪爆雷・改≫、≪氷結・改≫≪氷槍・改≫≪氷壁・改≫、≪岩槍・改≫≪石壁≫≪泥沼≫を披露する。

 続いて、≪石人≫でゴーレムを操る。


 一気に披露しすぎたのか、団員達は声を漏らすこともなかったが、一通りの披露が終わったところで大拍手と歓声が上がる。

「これがガニーの英雄か!」

「何度も魔人を撃退し、帝国兵達を圧倒する力。我らコンヴィル王国にこのような魔法使いがいるのか」

「習熟の先にはこのような魔法が。早速頑張るぞ」


 最初に来たときに比べて、自身の魔法も上達したこともあるが、団員達の反応が前向きであり披露した甲斐がある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る