第594話 王都の屋敷3
来客であるユゲット達も一緒に案内できるところ、庭園や応接の間などを見学してまわったところでユゲットとジャクロエには帰宅して貰う。
その後も引き続き、屋敷の主人になるジェロのための豪勢な部屋や、食堂、馬屋等々を皆で見学していくのと一緒に、屋敷の従業員と家臣達との顔見せを行う。
登城して色々とあり疲れていたジェロは夕食までの間はその豪勢な部屋、そしてベッドの上で横になり休憩する。
『なんか場違いなところにいる気がする』
『早く慣れないと。これが今の立場なんだから』
『そうだな……』
夕食も当然にこの屋敷で食べることになるのであるが、その豪華さに皆が戸惑う。
「本当はクシミールさ、んん。クシミール達とも一緒に食べたかったんだけど」
「お立場に早く慣れて頂いて。ただ、流石に従業員全てが同席させていただく場所もございませんし」
「それを言うと、本当は俺たちもジェロ様と一緒に食事する立場ではないのでは?」
「いや、イド達まで一緒でなくなったら1人寂しい食事になるから。せめてみんなとは」
「早くご家族を迎えられたら1人でなくなりますよ」
「それが簡単にできれば……」
「リスチーヌ、食事中に席を立たなくて良いから!」
豪勢な食事の後は、男女に分かれてそれぞれ大浴場に向かう。ジェロには女性従業員が手伝うために同行しようとしてきたが、1人で気楽に入りたいと断るのに必死であった。
翌朝も豪勢な食事であった。
「これはうちの奥さんにも料理をもっと学ばせないと、ガニーの屋敷での食事が見劣りしてしまう」
「いっそ料理人を雇う方が良いかも……」
「いや、ガニーでは隣の孤児院の子供達も来るし、できるだけ一般家庭の料理を。あ、でも人数が増えて大変だからその意味では人を雇うことも考えないとダメか」
「変な密偵が紛れ込むことを回避するためにも、奴隷での調達もご検討くださいませ」
「う、そうなるのか……」
「新興貴族ですので、どんな情報でも入手したいと思う人があちこちにいるはずです」
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