第515話 王都ジークセン

「テルガニ子爵、いよいよここまで帰って来られました。ありがとうございます。帝国軍から皆さんに救出された後、次に王都に帰って来るときには笑うと言いましたね。まだラーフェンから帝国を追い払うこともできず、ジークセンの奪還もこれからですが、ここでは笑います!」

『やっぱり強くなったわね、この王女』

『あぁ』

「モーネ様、大丈夫ですよ。西からはレジスタンスと一緒にコンヴィル王国のフェリック王太子達が、そして我々東からは大国ユニオール皇国によるラーフェン解放軍が合流したのです。まずは王都を奪還して、国民にその笑顔を見せてあげてください」


北西からはゲンベラン、ステフェン、ルスハンと順調に各街を解放して来たレジスタンス達。周りの村々はすでに味方になっていたのだが、この期に帝国兵を完全に追払い続け、この王都から北西の地域はすでに解放済みである。

逆に東からのモーネ王女を神輿にした皇国軍は街のみを解放して来たのだが、レジスタンス同士の連携により村々の解放もほぼ終わって来ている。

ただし、北東のベルカイムに繋がる街道において特に国境付近は、皇国軍の経路になっていないため未解放である。さらに王都から西部および南部も未解放である。



ここラーフェン王国の王都ジークセンを前に、東西からの解放軍が合流したのである。神輿であるモーネ王女を擁する皇国軍からの声かけで、合議の場を持たれることになった。


「では皇国軍からは、モーネ王女とその護衛のテルガニ子爵、そして司令官ドゥケ侯爵と副官の1人デュクロ伯爵。レジスタンスとコンヴィル王国軍からは、フェリック王太子、ドナシアン殿ということでよろしいですかな」

『いや、俺は同席しなくても……』

『ドナシアンの顔なんて見たくないわよね』

「私はその場には相応しくありませんので」

「何をおっしゃいます、テルガニ子爵が空を飛んで下さるからここまで来られたのですよ。また帝国軍からの逃走、各国への外交、帝国軍からの救出等々、テルガニ子爵のおかげで私はここに立てているのです」

『諦めるしかないわね……』

『……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る