第494話 冒険者達との交流3
ラーフェン王国との国境に向かう行軍で一緒となった冒険者300人と昼食休憩を兼ねた交流会をしているジェロ主従であるが、ジェロは対応に疲弊しきっている。
「戦える妾(めかけ)としていかがですか?」
と言う女性冒険者の売り込みには、美人で銀級冒険者でもあるリスチーヌが上手く追い払ってくれているが、もっと面倒なのが
「子爵もしくは家臣のどなたかに決闘で勝てば家臣にして貰えないか」
と言う腕自慢の相手であった。イド達が、今日はそういう場では無いと繰り返し伝えるのだが、なかなか引き下がってくれない。
また、いかにも魔術師らしい格好の者が、ジェロの体格や日本刀を2本装備している容姿を見て、
「本当に王級魔法を扱えるのであれば、後学のために是非とも拝見したい」
と、後学のためというよりも、同じく腕自慢、自身の魔法の力を示して仕官の伝手を得たいのか、それとも単に侮っているのではないかと思われる口調や表情をしてくる。
「自身の魔法は上級魔法までだが、魔法談義をさせて頂きたい」
「ガニーの街の防衛など、魔人を何人も撃退して来たというお話の詳細を伺いたく」
という、金級冒険者達への素直な憧れなどの会話の者達の比率の方がもちろん多いのだが、全体数が多いとそうでない者達の数も多くなる。
「もう良いよね?」
人付き合いが苦手なのに無理してこの場を設定したのに、良い加減にして欲しいとだんだんと逃げ出したくなる。
『一応はそれっぽい体にしないとダメなんでしょ?』
『悪魔のヴァルに言われるとは……』
一部の要望通りに王級風魔法である≪飛翔≫でその場から飛び立って逃げ出しつつ、少し離れた何も無い平原に対して同じく王級の≪爆雷≫を1つ、のつもりが、鬱憤もありヴァルと一緒に乱発してしまう。
「ジェロ様!冒険者達に対してはこれで何とかなりましたが、皇国の騎士団達が説明を求めて来ています」
「ごめんなさい。後は何とかお願い……」
余計に昼間は馬車に引き篭もることになったジェロであった。
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