第492話 冒険者達との交流

皇都ナンテールを出発し、ラーフェン王国との国境に向かっている一軍。

ジェロ達はモーネ王女の護衛として同行しているのだが、その少し後ろについて来ている冒険者達が300人ほど。


その冒険者達を引率しているギルド職員が、金級相当の事務職員であるアイメリックである。

「アイメリック様、そうはおっしゃいますが、私は人前に出るのが苦手でして」

「テルガニ子爵、そこを何とか。子爵は冒険者から貴族になられたサクセスストーリーの体現者ですので、彼らは子爵と直接お話しできる機会を欲しがっているのですよ」

アイメリックにはいったんは戻って貰い家臣団とだけの打合せを行う。


「ジェロ様、彼らは気の良い奴が多いですよ。我々は近くだから会話もしていますけれど」

「いいえ、コンスタン様。貴族の家臣になれる機会と思い仕官を希望する者が殺到することも御覚悟ください」

「マドロール、そこまで考えなくても。素直にAランク、金級冒険者と知己になりたいだけだったりしないのか?」

「いえ、単なる貴族より、冒険者やギルド職員だった新興貴族のジェロ様であれば、私たちのように冒険者でも家臣になれるのだと考えるのも普通かも。たとえ他国の貴族でも」

「マドロールやリスチーヌの話もわかるが、ここで冷たい対応をするという評価を受けるのも、一緒に戦場に向かう冒険者達に対して良くないのでは?モーネ王女のためにも」

「レナルマンの言う通りだな。ジェロ様、私たちの誰かが必ず近くに陣取りますので、了承の返事をされる方が良いかと」

話をまとめてくれたイドの意見に従い、交流会を実施することにする。


とは言っても、行軍の途中で一緒に昼食を取るだけである。夜にしなかったのは、すぐに出発する昼と違い時間制限をしにくいのと、酒も入り抑制が効かなくなる可能性を懸念しての話である。


『あぁ、憂鬱だな』

『まぁ気楽に仲間達に任せれば良いんじゃない。事件が起きても楽しそうだし』

『ヴァル目線ではそうかもしれないけれど……』

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