第490話 その頃のニースコン周辺
「そうか、いよいよユニオール皇国がラーフェン王国へ攻め入るのか。よし、何としてもニースコンは奪還するぞ」
弟のギャストル元王子のせいでムスターデ帝国に奪われたニースコンを攻めあぐねているコンヴィル王国のフェリック王太子。
「レジスタンス達と連携し、ニースコンの帝国兵達にはラーフェン王国内のゲンベランの街との連携をさせるな。絶対にニースコンを孤立させるのだ」
冒険者達に毎夜に付け火をさせた上で城門を開けさせる作戦も失敗し、ニースコンを無視してゲンベランに向かおうとする素振りで街から誘き出す作戦も失敗し、今は兵糧攻めのつもりなのにニースコンの街の帝国兵に弱った気配が感じられない。
ただでさえ兵士たちの地力が帝国兵には負けているコンヴィル王国軍としては、国境の街であり堅牢にしていたニースコンの街に攻め入って勝つことは容易ではないとわかっている。何とか皇国が攻め入る時とタイミングを合わせて、帝国をニースコンから追い出したい王太子達であった。
そしてそのニースコンの内側で。
「おい、頼まれて貰えるか?」
「あんな奴を運ぶのは嫌だが仕方ないな。ゲンベランまでで良いか?」
「流石に何を頼むのか分かるのだな」
「お前が覚悟を決めた様子だからな」
ニースコンを支配しているゲッツェ少将が魔人アラトラスに移送を頼んだのは、人質になっているギャストル元王子のことである。
そのニースコン近くで、ラーフェン王国側の廃村に拠点を構えている、ガニーの街の冒険者ギルドのギルドマスターであるドナシアンをリーダーとしたレジスタンス。
帝国軍がベルカイム王国に兵力をシフトしている隙を狙い、ラーフェン王国内の村々を味方にすることに成功していっている。
「よし、いよいよユニオール皇国が攻め入るか。ただし、皇国の本気度が分からないまま、ぬか喜びして村々のツテを潰されるわけにはいかない。街の一つでも解放するのを確認してから一斉蜂起すると皆に注意喚起しておくのだ。いいな」
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