第485話 皇都からの出陣

小さいながらに自分が皇城に残る意味も分かっているのか、モーネと別行動になることに対してわがままを言わないヒルデリン。健気と思いつつ、王族だからのこの年齢での物分かりの良さに悲しさも感じるジェロ。


「そうだ、テルガニ子爵、またガニーの街への手紙を預かるぞ」

「え?」

「コンヴィル王国、特にモージャンあたりの王太子達に、この皇国の動きをお伝えする早馬を送るからな。ちなみにこの出陣はベルカイム王国へ進軍している帝国兵への牽制もあるから、大々的に周知するから秘密でも何でもない」

「ニースコンの奪還にも連動できると良いですね!」

ジェロは、ニースコンでお世話になった冒険者ギルドのセドリユスや司祭のヴァレールを思い浮かべる。

「モーネ王女達は直ぐに出発するとは言っても、パレードなどの準備もある。その間にテルガニ子爵も準備をして皇城に戻るようにな」


皇都に購入している拠点に戻ったジェロ達。

「ジェロマン様、こちらの拠点は念のために残しておくのでよろしいですよね?」

「え?もったいなく無い?」

「買取にしておりますし、隣近所には何かあった場合のお願いは手土産と共に行なっておりますので」

貧乏性のジェロにすると無駄金に思うことでも、結局はマドロールの知る貴族感覚に従うことにする。


「戦場に向かいますので、薬草や矢尻などの消耗品など大量に調達して魔法の袋に収納しております」

「ジェロ様に追加購入頂いている魔剣なども。逆に家財道具一式はこの拠点に残していきますので」

この拠点を撤退する際には、家財道具を魔法の袋に入れてガニーに持ち帰るつもりだったのに、皆とは感覚が違うようである。

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