第468話 皇城の混乱

ユニオール皇国の皇都ナンテールの皇城において、ベルカイム王国にムスターデ帝国軍が攻め入ったことを知った、外交使節団。

当然にコンヴィル王国とラーフェン王国の合同使節団の面々も驚いているが、皇国の幹部達も大変な騒ぎである。


「では、あの狼煙は本当ということだな?」

「は、複数ルートから事実であることが確認されています!」

「帝国も馬鹿では無いので、準備も無く攻め入ることは無いであろう。どこまでも攻め入る勢いだろう。その予測は?」

「は、帝国との間にラーフェン王国があった時代から、南側への防御は弱いままです。ラーフェン王国が占領下となっても、ベルカイム王国は帝国を刺激したくない等の理由から、南の国境線の戦力強化をしていませんでした。かなり国内深くまで、場合によっては王都ルージャンまで侵入を許してしまうと想像されます」

「援軍に向かえる戦力はどのくらいあるのだ?」

「は、元々ベルカイム王国は親密国でしたので、彼の国との間には皇国としてもそれほどの部隊を配置しておりません。ラーフェン王国との国境に増員するために用意しようとしていた部隊でしたら、まだ早めに動かせます」

「ベルカイム王国からも救援の狼煙は来ていたよな?外務卿、そのまま派遣しても国家間として問題ないかすぐに確認せよ!」

「は!すぐに確認いたします。ただ、書状としては受領していませんが、大丈夫かと」

「よし、確認と並行して準備を進めよ!」


「宰相閣下、帝国兵がベルカイム王国に攻め入ったということは、ラーフェン王国への駐留兵が減ったということ。伸び切ったところの脇腹をつく意味でも、当初予定のラーフェン王国との国境への増兵に対して、越境して占領している帝国兵へ打撃を与えるという選択肢も検討すべきでは?」

「よし、それも、またそれ以外の選択肢もしっかり検討をするように。いずれにせよ軍事行為に対しては皇帝陛下及び皇太子殿下の采配をいただかなくては。急いで議論材料を用意するのだ!」

「「かしこまりました!」」

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