第465話 皇城での外交使節団2(+簡易地図)

皇城内に設けられた、合同使節団のための宿舎に戻ってきたジェロ達。

「十分な成果ではないでしょうか!」

「はい、ムラン伯爵のおっしゃる通り、この大国がこれだけ前のめりの結論を出す方向」

外交官2人の喜び度合いに比べてモーネ王女の顔は暗い。

「正直、皇国の強大な武力でラーフェン王国にいる帝国軍を追い払って頂けることを期待したかったので」

「モーネ王女殿下のおっしゃることはごもっとも。ただ隣り合う大国同士というものは、全面戦争には入らないように微妙な距離感を持つ必要があるのです」

「そうですか……」

「はい。これで皇国がラーフェン王国との国境に兵を増やして貰えたら、最初のルグミーヌ王国、我らがコンヴィル王国、ベルカイム王国、ユニオール皇国それぞれがムスターデ帝国に対する意思表示になります。ラーフェン王国に接する5カ国のうち帝国以外が。もちろん、皇国の意思決定を持って、ベルカイム王国が同調する前提ですが」

「皇都での成功を持って、早くベルカイム王国の王都ルージャンに向かい、宰相経由で国王陛下に交渉しましょう」

ムラン伯爵、カルカイム子爵の2人とモーネ王女の温度感の差は埋まらない。


ジェロは前世記憶の“冷戦”という大国同士の関係性があったことを思い出す。あちらは核兵器という存在があり、全面戦争になった時には人類滅亡になりかねないという話もあったが、こちらの世界でも全面戦争を回避したい何かがあるのだろうか。

そもそもこの大国同士が他にどのような国家と接しているのか、どこと同盟を組んでどこと戦争しているのかも知らないジェロにすると、目の前のラーフェン王国付近のことを考えるしかない。



〜〜〜〜〜

大雑把な位置関係:

      コンヴィル王国 – ベルカイム王国 – ユニオール皇国

 ルグミーヌ王国 – ラーフェン王国 – ユニオール皇国

 ルグミーヌ王国 – ムスターデ帝国 – ユニオール皇国

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る