第439話 皇国への使者2
宰相ジョス・ドゥネーヴが退席した後、コンヴィル王国とラーフェン王国の合同外交使節団のメンバは顔を見合わせている。
「確かに宰相がおっしゃるように、皇国が味方になり帝国に対抗して貰えると非常に心強いです。ただ、後継者争いの片方に肩入れすることになって良いものでしょうか」
「はい、殿下のおっしゃる懸念はありますよね。それに、モーネ王女殿下とヒルデリン王子殿下や我々も、このベルカイム王国からの支援確約を貰えないままユニオール皇国に向かって良いものでしょうか」
「このベルカイム王国の方向性はすぐに変化しないだろうから、元々交渉に伺う予定であった皇国に向かうのは良いとは思う。しかし、テルガニ子爵だけ先に向かって貰うのはいかがなものか。宰相がおっしゃるように、討伐証明の到達は早い方が効果が高いのは理解できるのだが」
「ムラン伯爵のおっしゃるように、このベルカイム王国での情勢は変わらないのであれば、私たちもユニオール皇国に向かった方が良いのではないかと」
モーネ王女、ムラン伯爵、カルカイム子爵の3人で話が進んでいく。
『ジェロが皇国に行くことは決定の前提なのね』
『そうみたい……』
結果、ユニオール皇国には、外交使節団の全員が向かうことになる。ただ、ドゥネーヴ宰相の配下であるモーリートとジェロたちは先に向かうので、皇都ナンテールで合流することになる。下手な邪魔が入る可能性もあるので、少しでも早く到着するよう馬車ではなく騎乗で移動する。
ムランたちは、コンヴィル王国の王都ミューコンに状況連絡の使者を送るというので、ジェロたちも便乗してガニーに手紙を送ることになる。しばらく連絡をとっていないから心配されているであろう、と。
ベルカイム王国に長期滞在になっていた外交官の一部がミューコンに帰国ついでに報告する。その経路途中にあるモージャンにおいてユゲットの手紙を父であるモージャン子爵に届け、ジェロたちの手紙はそのモージャンからガニーまで届けて貰うことになる。
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