第434話 ワイバーンの卵

「おい、これって」

地面から飛び立たなかったワイバーンを横に倒して胸から魔石を取り出そうとした時、そのお腹の下あたりに相当するところに卵が見つかる。大人の男性が抱き抱えるぐらいの大きさであり、見つかった場所からもワイバーンの卵であると想像される。

「これ、どうします?」

「うーん」

問われたジェロも回答に困る。

「これってそのまま育てれば従魔になるんじゃないの?」

「誰が育てるんだよ?」

「魔力をあげるのならば、ジェロ様かエルフのアルマティ?」

「なぁ、俺が育てても良いかな?」

「え!?」

思いもよらないコンスタンからの声であった。

「皆と違って遠隔攻撃が弱いから、こいつでも育てたら違った貢献ができるかもって」

「なるほど、良いんじゃないの?ジェロ様、良いでしょ?」

「あ、あぁ。じゃあコンスタン、頼むな」


『騎乗して空を飛べるようになっても、自分で飛んだ方が怖くなくて良いかな……』

『そうね、でも≪飛翔≫は滅多に覚えられないから、良いんじゃない、彼で』


もう1体からも魔石を取り出し、両方ともジェロの魔法の袋に死体を収納させて一息ついているところで、ヴァルから警告される。

『帰って来たわよ』

暗くなりかけた空を、東方、皇国の方から3体のワイバーンがやってくる。山の下の方からは、卵のところにいた1体が見えていなかったのであれば数があう。

「みんな、今度は飛んでいる3体だ。気をつけてね」


先制攻撃として、悪魔3体を連れてジェロは≪飛翔≫で飛び出し、端にいた1体に≪結界≫でいったん動きを封じたまま≪氷結≫≪氷槍≫などの攻撃を数の暴力で押し切る。

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