第431話 ワイバーン討伐準備3

翌朝、街の東門で合流した濃紺ローブの男は口数が少なくジェロ達を先導するように進む。ジェロ達がバトルホースに乗ることも知っていたのか、自身の馬もかなり立派な物であり、出発してすぐに山を上る斜面になってもあしが止まることなく進んで行く。

昼ぐらいになっても案内の男はそのまま進み続け、馬上で干し肉をかじるだけである。ジェロ達はその姿を見て、ため息をつきながら各々も適当なものをつまみながら後をついて行く。

途中では険しい谷の横も通るが、案内人は何も言わないので恐る恐る付いて行く。


「ほらあそこ、見えるだろう」

ぶっきらぼうに指さされた先は、登ってきた細い間道からさらに見上げた先であった。山脈を超えた皇国側にあたる上空を黒い大きな何かが飛んでいる。蛇やトカゲのような細い体ではなく、クマなどのような立派な体格で前足の後ろ側に蝙蝠のような大きな翼がついている感じである。


この無口な男と野営をして何日も過ごすのかとも思っていたジェロは目的が見えたことに一安心もするが、その脅威には腰が引ける。

「じゃあ俺はこの辺りで待っているからな」

そう発言すると、男は腰を下ろしてしまう。


ジェロ達は仕方ないので、バトルホースに騎乗のままで登れるところまでは進み、それ以上は馬から降りて一緒に登る。少し広くなったところに戦馬たちは待たせて、後は徒歩で登っていく。

「あれ、2体は居るのかな?」

「いや、さっきもう1体見えたぞ」

弓矢を扱い目が良いエヴラウルが訂正するが、≪望遠≫魔法を使って見てしまったジェロはさらにもう1体、合計4体が見えたことを知っている。後で知っても混乱しかねないので、仕方なく仲間達にその旨を伝える。


「ジェロ様、大丈夫ですよ!」

イド達がわざと明るく振る舞ってくれる空元気が微妙にありがたい。

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