第415話 ベルカイム王国ワコローズの街

山越えをしたことから、国境でのムスターデ帝国兵の確認を受けること無く無事にベルカイム王国に入ることができたジェロ達。

国境から離れた場所で街道に戻ったので、ラーフェン王国から見て2番目の街ワコローズに入ることになった。ベルカイム王国でも帝国の目があり得るので、モーネ王女には変装を継続して貰い、ジェロの馬車を使用する旅になっている。


「さすがにここではムスターデ帝国の軍票はなく、ベルカイム王国の貨幣で買い取りをして貰えました」

「良かった。でも、ベルカイムは帝国への対応について態度を明確にしていないのですよね。その辺りも情報収集しないと……」

「モーネ王女殿下、ベルカイム王国の方とはどの程度面識がおありですか?」

「隣国ですので王族の方々とは少しはありますが、コンヴィル王国ほどは国としても親密では……」

「コンヴィル王国の外交官の皆さんが居ないまま王城に訪問して交渉できると思われますか?」

「正常時であれば面会もできたと思いますが、今ではラーフェン王国の王族が面会することを避けられる可能性もあるかもしれません。それどころか、帝国からの圧力に迷われている気配がありますので、いざとなれば私を捕らえて土産に帝国に降ることもあるかも、と」

「後者になると最悪ですね。コンヴィル王国に戻るにしても、王都ルージャン近くまで行ってから、コンヴィル王国のサンレーヌを目指すルートしかないのですが。しばらくは変装を継続すること、申し訳ありませんがよろしくお願いします」

「はい、私にできることであれば何でも。こちらこそ引き続きよろしくお願いします、テルガニ子爵」


ベルカイム王国が帝国につくのかどうかの検討状況、態度を見極める情報収集を行いながら、王城には登城しないまでも王都ルージャン近くまで進むことになったジェロ達。

帝国の支配下にあるラーフェン王国よりは気を楽に、色々な買物もできると思いつつ、警戒は継続する旅になりそうである。

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