第393話 ルスハンの街2
夜になると帝国兵の拠点近くに行き、モーネ王女に対して、使節団員は救助済みと伝えて次は王女救出と言いたいのであるが、この防衛状況ではどのように救出すれば良いのか思いつかない。
ハポリエルに王女の場所確認だけは頼んでおきながら、皆と相談をする。レナルマン達の道向かいの宿屋に泊まり、窓を開けて≪集音≫とその応用で会話をしている。
「使節団員のように明日の移送中に襲うのは、危険があるから避けたいんですよね」
「そうだね、他の案が欲しいね。積極的に戦うのではなく」
「今夜のうちに拠点からさらってしまうのが良いでしょうね。例えばジェロマン様が≪飛翔≫でこっそりと王女だけ抱えて逃げてしまうとか」
「うーん、リスチーヌかジョジョゼ、ちょっと良い?」
「では私が。何でしょうか」
「ありがとう、リスチーヌ。ちょっとごめんね」
「えぇ!?」
「うーん、確かに抱えられるかな」
王女と似た体格のリスチーヌをお姫様抱っこして試してみているジェロ。
「ちょっとジェロ様!」
「あぁ、これだと魔法発動の邪魔か。おんぶしてみるか。うーん、両手が空くけれどおんぶされる人の腕の力も要るね。そうでない場合は、両手でお尻を支えるか。これだと腕が使えないのは同じだから、抱っこの方が良いかな」
「ジェロ様……」
『ジェロ、やるわね』
『あぁ、最低限の筋力は鍛えているからな』
『……』
「……話を戻します。王女をさらうには、拠点に騒動を起こして混乱させる方が良いでしょうね」
「火でもつけてみる?皆で何ヶ所にも」
「それが良いでしょうね。後はさらった後の脱出ですが、夜には城門を出られないと思いますので、何人かは先に街の外で待機しておきましょう」
「では、ジェロ様と同じ宿の私たちが」
レナルマンとマドロールが火付役になり、他のメンバは急用ができたと宿を引き払って夜になる前に外に出て、ステフェン側の街道外れに待機することになった。
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