第385話 遭遇戦

「こっちの方がレジスタンス拠点ですね。どうしますか?」

「追手が来るならばそちらに行こうと思っていたけれど、このままニースコンまで行ってしまった方が早そうだよね。国境の様子を見て、必要ならばまた徒歩で山越えも覚悟だけれど」

「そうですね。国境でも少しの将兵なら押し切ることも、ですね」

「まぁ無理に戦う必要は無いのだけどね」


「あれ?この辺りが国境だったはずなのに、どちらの国の将兵も居ませんね」

「どういうことだ?何か他に大事が発生しているのか?」

「でもチャンスですね。このままニースコンに入れたら助かりますね」


『前方から軍勢が!』

『え?』

「皆、前方に軍勢!」

「ニースコンから迎えですかね?」

「いや、先触れも出していないのに?何かおかしい、引き返す!急いで!」

馬車の向きを変えるのに御者の使用人達が手間取っている間に、接近して来たのが帝国兵数十人であることが分かる。

「やばい!」

≪夜霧≫を複数、ヴァルと一緒に街道に発動させて目眩しした上で、ハポリエルも呼んで、その霧の手前には≪炎壁≫を並べる。

「皆さん、急いで逃げて!イド、エヴラウル、ジョジョゼ、コンスタンの4人はレジスタンスの拠点に皆を連れて行って!御者を代わってもいいから」

「そんな、ジェロ様は?」

「魔法が得意なメンバで殿を務める!」

「我々王国騎士団員も殿を!」

ジュリユーが他の騎士、従士の5人と一緒に馬を停める。

「ダメですよ、皆さんも救出依頼の対象なんですから」

「騎士団員は国民を守るのが仕事。仕事を取り上げないでください」

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