第366話 モーネ救出検討

ヒル王子を再びユゲット達に預けて退室したジェロに対して、ニースコン男爵が応接室に案内する。

「こちらを差し上げます。こちらで少々お待ちください」

渡されたラーフェン王国側の地図を見ながら記載がないところについてアンセルムに教えて貰いながら待機をする。以前に“ジェロ班”とアンデッド退治に行った廃村では、ガニーのギルドマスターのドナシアンがレジスタンスの拠点としている旨を聞き、あまり関わりたくないと思ってしまう。


「お待たせしました」

「ヴァランタン伯爵、ラプラード子爵、こちらが道中でお話ししました金級冒険者のジェロマン・テルガニ殿です」

「テルガニ殿、こちらは、ムスターデ帝国への対抗として来て頂いています王国騎士団、派遣軍司令官のジルダ・ヴァランタン伯爵と、副官のクレール・ラプラード子爵です」

「ジェロマン・テルガニです。どうぞよろしくお願いします」

「テルガニ子爵、ジュリユー準男爵の治療をしてくれたようで感謝する。こいつは騎士団でも見所があると思っていた奴なんだ」

「いえ、私もルグミーヌ王国への使節団の際にお世話になった方なのでお役に立ててよかったです」

近くに居たジュリユーの肩を抱き寄せてお礼をしてくる。良い人であろうが、体育会系の熱い男でジェロが少し苦手意識を感じてしまう。


「ヴァランタン伯爵、こちらのテルガニ殿がモーネ王女殿下たちの救出に向かわれるとのことでして、教えて頂ける範囲で国境付近とラーフェン王国領土内の帝国軍の状況を共有して貰えないでしょうか」

「ニースコン男爵、いくら滞在での便宜を頂いているあなたのお話でも、軍事機密情報を単なる冒険者へは共有できませんな」

「そんな……」

「ふ。まぁ何とか前線から帰還した騎士団員の後輩に共有する場に誰かが居たのか何てガサツな俺は気にしないがな。なぁ副官よ」

「まぁいつものことですね」

「伯爵……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る