第364話 一人ぼっちのヒルデリン2

ヒルデリンが離してくれないので手を繋いで一緒にジュリユー準男爵のところへ移動する。

「テルガニ子爵!このような姿で申し訳ありません」

「落ち着いてください」

と≪王回復≫で治療すると、療養のために寝ていたベッドから飛び出てくるジュリユー。

「ありがとうございます!流石はテルガニ子爵!」

「ですから落ち着いてください。改めてお話をお伺いしたいのですが」


ジュリユーもヒルデリンの前で話をする懸念を目線で示すので、改めてヒルデリンの部屋に皆で戻り、同室内にジェロが居ることを感じさせながら、ユゲットやリスチーヌがヒルデリンの相手をする。そうしてようやくジュリユーから経緯を聞く。


あらかじめモージャンなどで聞いていた話で大筋はあっていたが、さらに詳細を聞くことができた。


オンハルト王太子は意地になってコンヴィル王国の将兵を当てにせずに攻め込む意思が強かったようである。コンヴィル王国に借りを作ったことにしたく無いのであろう。

ガニーの冒険者ギルドのマスターであるドナシアンが冒険者達を束ねて、ニースコンに程近い廃村を拠点にレジスタンスで成果を上げている話が伝わっているようで、それに負けたくないと、廃村ではなくムスターデ帝国の支配を受けている村を解放しようとしたらしい。

しかし、装備はしっかりしていても所詮は犯罪奴隷などの寄せ集め、さらに王太子自身に指揮官の能力も無く力技で十分と舐めてかかったため、すぐに近隣の帝国兵が集まって来て村を奪い返されて逃亡することになったようである。

それより後の、使節団からギャストル王子に無理矢理連れられて抜けた後の使節団のことは分からないとのこと。

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