第352話 魔人アズキアスの装備

テルガニ家の拠点については、とりあえずイド家族の家の場所さえ決まれば建築を始められる。家族持ちの家臣の家を道路沿いと決めたので、家ごとに出入りも自由であり建築も始めやすい。各家の設計は各々に任せる。

イドの家の東にはレナルマンの家をどうぞ、と言ってある。その隣はエヴラウルとジョジョゼが一緒に暮らす家になるかと勝手に思っているが口には出していない。まずは2軒分の建築費をイドに預けてある。


後は自由にと言いつつ、そろそろとジェロは自室に戻り、領主館で受け取った魔人アズキアスの装備の確認に切り替える。

『やっと確認できる!』

『楽しそうね』

『魔人だから色々と持っているかもしれないよね』

確認できたものは、魔法発動体らしき指輪、何らかの魔法効果のありそうな短剣、そして魔法の収納袋である。後で確認したのだが、5m×5m×5mのそれなりの大きさの≪拡張≫腰袋であった。

収納袋にあったと思われる書状の類は取り上げたと言っていたので、問題ないものだけ残っていると思いながら、取り出してみると冊子が2冊だけであった。パラパラとめくってみると、片方は何種類かの魔法陣も描かれた一般的な魔導書、もう一冊は研究ノートのようであった。

『あら、悪魔魔法の魔導書ね』

『え?そんな魔法があるの?』

『そうね、一般的ではない呼び方だけど、死霊魔法や≪魅了≫≪催眠≫などは知っているでしょ?それに呪いとかも』

『使い所が難しそうだな。また死霊魔法みたいに覚えるだけになるかな。もう一つは?』

『同じく悪魔魔法だけど召喚魔法っぽいわね。あらこれは。試してみるわね』

『え!?えぇ!?』

この前、魔人アズキアスの側にいた人間サイズの、背中に蝙蝠の翼がついた男が現れる。

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