第332話 ガニーへの錦3

「ジェロ、応接室で待っていてね。司祭様を呼んでくるから」

「忙しいのに良いよ。孤児院に行っているね」

「あらそう?じゃあそっちに連れて行くから待っていてね」


「ジェロ兄!こんにちは!」

「今日のお土産は!?」

孤児達が集まってくるので、途中で買っていたお土産のお菓子を配っているところに、フロラリーの夫でありここの司祭のローランスがやってくる。

「テルガニ子爵、そんなことを!」

「ローランスさんまで。今まで通りでお願いします」

「そんなわけには。冒険者ギルドのメオンさんに色々と伺っておりました。ご活躍だったそうで」

「いえ、たまたまです。皆のおかげです。それよりもこちらをお納めください」

「ジェロ、前にも言ったわよね。無理しちゃダメ」

「フロ姉、大丈夫だよ。特級ポーションの調合が出来るようになったから経済的に余裕があるんだよ」

「あら、特級!?それはすごいわね。頑張ったのね。でもそのお金はテルガニ家の体制を整えるのに使ってね」

「そうだ、その体制のためにもこの孤児院の卒業者を雇いたいんだけど、どうかな?」

「それもダメよ。ちゃんと試験した結果で選んでくれないと、伝手で行けると思うと皆がちゃんと頑張らなくなるから、子供達のためにならないわ」

「わかったよ……」

『貴族の後継者をフロラリーにしたことなんて言ったら、きっと怒られるんじゃない?』

『きっとね。黙っておこう……』


子供達に何かあった時のためと説得して、いくつかの特級ポーションと金貨を無理矢理受け取って貰ってから宿屋に戻る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る