第330話 ガニーへの錦

立身出世して故郷に帰る、錦を飾る、を体現するわけでもないが、貴族に叙爵されてガニーに初めて帰るので緊張するジェロ。

「だから馬車で帰りましょうよ、と言ったのに」

「いや、なんか偉そうだから騎馬で良いんだよ」

「せっかくの晴れ姿なのに」

ガニーの門の前でリスチーヌと揉めながら結局は馬車を魔法の袋から出さずに、顔見知りの門番に挨拶をしながら街に入る。


冒険者装備のみの9人が騎乗、2頭が替え馬で同行している一行でありそれなりの規模で目立つので、まずは冒険者ギルドに行きまぎれることにした。

「コレットさん、ご無沙汰しています。メオンさんはいらっしゃいますか?」

「え!?ジェロ?いえ、ジェロマン様?」

「コレットさんまで。ジェロで良いですよ」

「いえ、話は伺っております。メオンですね、連れて参りますので、応接でお待ちくださいませ」

「コレットさん……」

『結構普通に話せるようになった自覚はある?』

『あ、そう言えば。だいぶ揉まれて来たからかな』


「これはテルガニ子爵、急なご来訪驚きました」

「メオンさん、あくまでも冒険者ギルド職員でもありますので、今まで通りの口調でお願いできないですか?」

「そうか?じゃあまぁ、お言葉に甘えて。モーネ王女殿下達を連れて王都に向けて出発してからの活躍、噂で何となくは聞いていたが、どうだったんだ?それに見知らぬ2人も居るのは御夫人か?あと、どうしてガニーに?使節団の休憩中か?」

「メオンさん、落ち着いてください。私も色々とお話したいですが、順番で」

「そうだな。しかしその前に」

メオンがドアを開けるとヴィクシムとバスチャンが聞き耳を立てようとしていた。

「2人とも入って貰っても良いだろう?」

「はい、もちろんです」

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