第328話 今後の相談
一度宿屋に戻り留守番であった家臣達と合流し、今回の経緯を共有するジェロ。
「やはり私が王子のもとに行けば良かった……」
とつぶやくリスチーヌの横で泣き出すアルマティ。
「違うよ。理不尽な要求に対して上手く逃げられなかった俺のせいだ。気にすることは無い」
「そうだ、そんなバカ王子の横暴が通るこの国が悪い!」
「イド!滅多なことを言うな!」
「皆、落ち着いてくれ。正直なところ、いきなり貴族になって知らない土地や国に移動して振り回されていたことから解放されると思えば気楽になったよ。皆には申し訳ないけれど」
「ジェロ様……」
面倒ごとが波及する可能性もあるため、すぐに冒険者ギルドに向かいアンブリスに報告する。
「そうか、あの王子……。まぁ貴族を廃爵されたわけでも無いのだよな、第3王子にその権限は無いし。それに、だからと言って前線に行けと言われたわけでもない。ならば、もともと法衣貴族で役無しなんだからしばらく自由にすれば良いだろう。それこそガニーの街に顔を出してやれ」
「はい、わかりました」
「もし冒険者ギルドに何か来てもできる範囲で助けてやるから遠慮せず頼って来いよ」
「ありがとうございます……」
ジェロも涙をなんとか堪えるしか無かった。
アナトマ商会へも連絡に行く。
「さようですか。さらにご活躍される機会が先延ばしになったのですね。一度御休憩されて足固めされるのにちょうど良いのでは無いかと。テルガニ子爵家の拠点、家臣体制など先送りされていたところをゆっくりご検討されてはいかがでしょうか。例えば特級ポーションを納品いただけるだけで経済的に不自由は無いかと。それに頼もしい冒険者の皆様がダンジョンに潜って入手された素材を販売すれば、モージャンで商会を副業にできるのではないでしょうか。冒険者クランでも商会でも立ち上げられて。もちろん我がアナトマ商会は全面協力させていただきますよ」
「アナトマさん……」
皆に助けられていることを改めて再認識するジェロであった。
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