第324話 魔法陣の操作

宿屋で自分に割り当てられた部屋に入ると早速入手した魔法カードと書物を取り出す。

『古代魔術の上級土魔法≪石壁≫のカードね』

『おぉ、≪土壁≫よりも頑丈そうだね。それよりもこっちは?』

『あら珍しい。ダンジョンの宝箱からでも出たのかしら』

『え?何だったんだ?気になるじゃないか』


ヴァルが言うには、他人が空中に魔力で描く魔法陣に外部から干渉するものであるという。

そもそも魔法陣を描いて魔法を発動するのは、悪魔のヴァルにしてみると初級者であり、初級者の使用する魔法の種類は限られるので魔法陣を見た瞬間に何の魔法陣かわかるはずであると。そうなると初級者の魔法陣を描ききるスピードより速く、その魔法陣を描いている場所に自身の魔力で何かを描いてしまうと、魔法の発動を失敗させられる、と言う物らしい。

熟練すれば相手の魔法陣を途中で乗っ取り相手の消費魔力も活かすことで、最低限の消費魔力でその魔法を意のままに、例えば攻撃魔法ならばそれを発動しようとした相手に発動させることができる。ただ通常は、意味のない魔法陣に変えてしまって発動を無効にさせる程度とのこと。


『見本を見せてあげるわ。≪そよ風≫を、魔法陣を描きながら、こっちに風を送るつもりでゆっくりと発動させようとしてみて』

『こんな感じかな』

『そうそう』

『うぉ!風がこっちに吹いてきた。途中で魔法陣を描く魔力操作も混乱してしまったし』

『どう?』

『これはうまくハマれば面白そうだな。練習してみよう』


夕食で中断されるまで熱中して購入した書物を読み込んでしまった。夜にもヴァルに魔法陣を発動して貰い練習をするが、なかなか慣れるのに苦労するものであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る