第320話 王太子と王子2
ラーフェン王国オンハルト王太子の要求をコンヴィル王国ギャストル第3王子が却下している流れであるが、筋で言うとギャストルの方が正しいことを皆が理解しているため、火に油を注がないように2人の会話をハラハラしながら見守っている。
「それよりも支援への見返りについてお伺いしようか」
「ラーフェン王国の領土さえ奪還できれば、な」
「では先に手付としてモーネ王女を頂く約束をして貰おうか」
「(良い感じにモーネは自身を。良し。)まだ領土の奪還もできていない現状では婚姻ではなく婚約までだな。それも将兵と交換だ」
「何!」「おい、ここモージャンの領主!」
「はい、モージャン領主で子爵のルベリート・バンジル・モージャンでございます、ギャストル王子殿下」
「このオンハルト王太子に数十人ほどの将兵を貸し与えろ」
「かしこまりました。ただ、一領主が勝手に他国の王族に将兵を、と言うわけにはいきません。コンヴィル王家に貸出を行い、そこから王子が、で良いでしょうか?」
「良いようにすれば良い。官僚たちも話を聞いたな。そのように手続きをせよ」
着いた途端に面倒な流れになったものの、いったんは結論が出たため解散となり、翌日関係者が再度集まることになった。
ジェロたちも引き続き宿を手当されないままなのは分かっているので、冒険者ギルドのギルドマスターであるアンブリスのところへ現状報告等を兼ねて訪問し、宿の紹介をして貰うことにする。
「あなた、それで良かったのですか?あの王太子に領の将兵を貸すなんて」
「もちろん精鋭部隊など出さない。褒賞に目がくらんだ冒険者崩れ、犯罪奴隷などを選んで装備だけそれっぽくして提供するだけだ。それに、王太子に提供した屋敷の費用や諸々もこの機会に王都から貰ってやる」
モージャン領主夫妻が会話しているところにユゲットがやってくる。
「お父様、お母様、お時間よろしいでしょうか」
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