第319話 王太子と王子
「モーネ、遅い。もっと早く援軍を連れて来られなかったのか?」
「申し訳ありません」
「ルグミーヌ王国などに行く前に、こちら」
「まぁまぁ、オンハルト王太子殿下、まずは館内へ」
「ふん!」
領主館の敷地に使節団が到着し、馬車を降りたところでのオンハルトからモーネへの叱責である。モージャン子爵のとりなしで多くの人目には触れない場所に移動することになった。
その移動先の領主館の大広間においても上座争いが発生する。
「何だと、王太子の俺より優先する者が居るのか!?」
「ですから、コンヴィル王国の王子が到着されるとお話ししましたよね」
「だから、なぜ第3王子が王太子の俺より上位なのだ?」
「それはここがコンヴィル王国だからですよ」
オンハルトは納得していないが、ラーフェン王国から逃げて来て王太子のお付きになっているラーフェン官僚が説得を続けている。
そこへギャストルがモーネを連れて入室して来て、当然のように上座につく。
「そちらがラーフェン王国のオンハルト王太子かな。お待たせしたようだな。話は聞かれていると思うが、モーネ王女とベルカイム王国に共同戦線を声かけに行くのに立ち寄ったところだ」
不機嫌で答えないオンハルトに対しギャストルも不機嫌になる。
「ラーフェン王国はコンヴィル王国の支援に対して何を提供されるのかな?」
「支援と言いつつ、我に兵を与えないではないか」
「なぜ他国に我が国の将兵を与える必要がある?我々がラーフェン王国の領土を奪還するのを見ていれば良いであろう?」
「それがいつまでも進まないから、我が自ら前線に立とうというのである」
「敗軍の指揮官に頼むほど我が国は人員不足ではない」
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