第315話 ベルカイム王国への途上2

他にもギャストル王子とダンビエ子爵からの嫌がらせはある。

以前はもともと魔術師団員とは交流できなくても、騎士団員とは戦闘訓練などで交流ができるようになっていたのだが、騎士団の上司であるダンビエ子爵に目をつけられると後々面倒になることを避けるため、それらも行わなくなっている。


ダンビエ達の目がないところで、前回に護衛隊長であったジュリユー準男爵が代表して謝罪に来たが、逆に迷惑をかけて申し訳ないとジェロが謝っている。

「それに、実は前回でありがたかった風呂の恩恵にあやかれないのが地味に辛く、ダンビエ子爵への不満が高まっていますよ、前回にも使節団に参加した者たちからは」

「それは申し訳ありません。王子やダンビエ様も含めて、せっかくお誘いはしているのに」

「本人たちはプライドもあるし、他の者も誘いに乗ると睨まれる可能性があるから仕方ないです。野営で風呂がないことなど普通なのですが、前回で贅沢になってしまいました……」


宿のない場所での野営で、ジェロたちが魔法の訓練も兼ねてお湯を出して風呂を用意していたのだが、今回はラーフェン王国関係者とその護衛であるジェロたちしか使用していないのであった。

ただ、王子だけは連れて来た使用人たちに水汲みをさせて、お湯にする魔道具を使用していると聞いた。しかも、それを口実にモーネ王女を誘うつもりだったのをジェロに邪魔されたと、また恨みをかってしまったようである。


「もう気にしなくて良いのではないですか?」

「そうは言っても……」

「こちらに落ち度があるとそこを責めて来ますから、何事も官僚たちの了解をとって行動するようにしますね」

「レナルマン、ありがとう。頼むよ」

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