第293話 王国魔術師団へ帰還報告
「テルガニ子爵、ようこそお越しくださいました」
「いえ、お忙しいところお邪魔します」
では早速、と魔術師団長のラロシェルが話し出す。
「今回のルグミーヌ王国へ同行させたクロヴォン・タルブの件、申し訳ありませんでした」
「え?いえ特には」
「いいえ、ちゃんと聞いております。嫉妬心などから色々とご迷惑をおかけし、さらに馬に乗れない3人であったから、功をあげる数少ないチャンスを逃したと。騎士団員たちはその少ないチャンスをつかんだというのに。この度はギャストル王子殿下も同行されることを言い訳に、魔術師団員の入れ替えをさせて頂きます。こちらに」
合図で入って来たのはローブ姿の男性3人。
「ご紹介いたします。順にセレスタン・グリニオン、アナトリス・トーバック、ジュレーズ・マンデーズです」
「家名ということは」
「はい、順に男爵家の当主、嫡男、準男爵当主となります。いずれも意識が高く乗馬もできますし、中級の攻撃魔法は使える者たちです」
「「「よろしくお願いいたします」」」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」
「では自己紹介かねがね、また鍛えられた腕を拝見できますでしょうか」
連れ立って行った訓練場では以前のように魔術師団員たちが待ち構えている。中には一緒にルグミーヌ王国へ行った3人も立っているが、特にクロヴォン・タルブからはにらまれているとしか思えない表情であった。
「では非常勤講師のジェロマン・テルガニ子爵に実演を頂く」
団長ラロシェルの合図に従い、古代魔術で威力が向上した≪豪炎≫≪炎壁≫≪氷槍≫≪氷壁≫を順次発動させる。
以前のことを覚えていた者たちからもさらに威力が向上した実演を見て声が漏れる。
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