第286話 王都で帰還報告

往路と同様に帰路も約4週間かけて、王都ミューコンに到着した使節団。

先ぶれは出してあり当然のようにパレードが準備されており、王城までの道のりは住民たちの歓声に囲まれての行進となった。

ジェロはなるべく何も考えずに無心になるようにして、窓は開けたままではあるものの馬車の中で一人座っているが、御者台のアルマティはまだまだぎこちない。ジェロたちの馬は従魔の戦馬バトルホースであり賢いため御者として何もしなくても大丈夫であることが救いであった。


王都に入る前から正装ではあったが、使節団全員に≪洗浄≫魔法を、仲間たちと手分けして発動してから国王ルネスラン・エビナント・コンヴィルの謁見の広間に進む。

「モーネ王女、ヒルデリン王子、無事にルグミーヌ王国の協力を得られたようで良かった」

「はい、こちらのテルガニ男爵をはじめとするコンヴィル王国の皆様のおかげです」

「ふむ、ジェロマン・テルガニ男爵、面をあげよ」

「は」

「またムスターデ帝国の後方撹乱作戦であった魔人を、しかも吸血鬼と共に単独討伐したと聞いた。それもありルグミーヌ王国が協力を約束したとか。相違ないか?」

「は、こちらの王国騎士団のマリユーグ・ジュリユー騎士爵達のご支援のおかげですので単独討伐とはたまたまでございます。またルグミーヌ王国の協力の件はモーネ・ラーフェン王女殿下や、外交を担われましたバルナタン・ムラン伯爵、ギャスタン・カルカイム子爵の皆様の手柄と存じます」

「ほぉ手柄を独り占めしないのか?」

「事実でございますので」

「よし、では褒美は皆に与えることにしよう。テルガニ男爵、その方は子爵に陞爵(しょうしゃく)する。これからも励むが良い」

「は、ありがたき幸せ」

『改めて契約魔法が発動したみたいね。前より少し強めよ』

『やはりか。でも強くなるということは、権力が強いものほど裏切られては困るということかな』

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